昨今、そろそろ「恋愛マニュアル評論家」という、いささかややこしい組み合わせの肩書きを新しくプロフィールに付け加えてもかまわないんじゃないかってくらい、ヒマさえあれば『Yahoo! ニュース』上で女性向けの恋愛マニュアルモノを読み漁(あさ)っている。1ヶ月ほど前に『片手で数えられるくらいの「モテセオリー」で数十・数百の「マニュアル」を生み出すイマドキ恋愛サイトの錬金術的なしたたかさ』というタイトルのコラムを、このcitrusに寄稿した以降の話である。
ここでは、
・清潔感がある
・愛嬌がある
・いつも笑顔
・気配り上手
・一緒にいて安心できる
……など、「コレが全部、当たり前のようにできたら誰も苦労はしないっしょ!」的な、ある意味身も蓋もないド定番な “教え” のホンのいくつかを、表現をちょこっと変えただけでただ漠然と「聖人を目指しなさい」と強いるたぐいの “恋愛マニュアル” を何十も何百もヒネリ出すその手腕って、案外すごいかも……みたいな皮肉めいたことを書いた。そして、そんな問題喚起(?)がゴメスの脳裏にうっすらとよぎったのをきっかけに、
「もっと、私の予想をガツンと裏切ってくれる掟破りでアグレッシブな女性向け恋愛マニュアルには出会えないものなのか!?」
……との想いが次第に膨らんでしまった次第なのであった。
いや〜、なかなか見つからんものですな……。でも、あった! 「大人女子のためのWebメディア」をコンセプトとする『Grapps(グラップス)』が配信していた『モテるのはナゼ? 男性に追われる女性の特徴』なるタイトルの記事をご覧になっていただきたい。
正直、タイトルに関しては期待感をまるで抱けない凡庸なレベルだと思った。ただ、クリックして本文を開いてみたら……?
(1)多くを語らないが、ここぞという時は意思を伝える
(2)好意は小出しにして伝える
(3)周囲からの評判が良くなるように立ち振る舞っている
……と、前述した “綺麗事のオンパレード” とは違って、少なくとも「ひょっとすれば明日からでも実行できそう」な “具体策” が提言されている。つまり、どれもが “確信犯” であって、それはイコール「マニュアル」としてきちんと成立しているということだ。
たとえば、(3)の効果として同記事の筆者は、
男性はハンター気質がある人が多いため、周囲から人気のある女性ほどみんなが競争してゲットしようと動くのだそう。
……と指摘する。
「男性のハンター気質」を刺激することを目的に、日ごろから周囲への気遣いを怠らない──見方によっては「嫌な女」じゃないですか(笑)! しかし、「聖人=モテる」といった雲をつかむような空論を無責任に垂れ流すのではなく、
「本気でモテたきゃ、それくらいの奸計は働かせましょうよ」
……と、「悪女のすすめ」を奨励する“開き直り”こそが、こと恋愛マニュアルにおいては正しい姿勢なのではなかろうか。