叶姉妹と並び、日本人生相談界の二大巨頭として君臨する蛭子能収の凄みは…やはり!「天井人(てんじょうびと)目線」にアリ!?

 

先日、私はここcitrusで、

 

あまりに浮世離れしすぎた出で立ち(いでたち)と言動がすでに社会認知されている人物が語る一言一句には、仮にそれがどんなに凡庸なロジックであっても、異次元的なオーラが宿るのではなかろうか。

 
……と、叶姉妹の「天上人(てんじょうびと)目線」な人生相談を称賛する旨のコラムを寄稿したばかりだが、日本人生相談界の “両巨頭” として叶姉妹に並ぶ、もう一人のカリスマを忘れてはならない。そう! 2020年7月に自身の認知症を公表しながらも、悩める市井の民の声に耳を傾け続けるタレント兼漫画家の蛭子能収(74)センセイだ。とりあえずは、ネット版の『女性自身』が定期的に配信している『蛭子能収のゆるゆる相談室』にあった、以下のようなやりとりに目を通してみよう。

 

Q.恋人がいない自分は人間として未熟ではないか……と。仕事はけっこうバリバリやっているほうだと思いますし、稼ぎも同世代ではいいほうです。でも恋人がいないのがけっこうなコンプレックス。どうすれば彼女ができるの?(24歳:男性)

 
A.蛭子「オレが長崎にいたときに通っていたパチンコ店に大谷直子と辺見マリを合わせたような女性店員がいて、いつもそのコが担当している “島” (※=台が並んでいるエリア)ばかりで打っていました。玉がくぎに引っ掛かると彼女と話せるチャンスが増えますからね」

 
「でも、そんなよこしまな考えがあると彼女はできないし、パチンコも勝てないですからね」

 
「この人も、今は仕事をどんどんやっていればいいんですよ。オレだって結婚しているんだし、知らない間に彼女もできると思いますよ」

 
「あと女性は思いのほかギャンブルする男が嫌いみたいです。あるとき女房に『私とギャンブルどっちが好き?』と聞かれて、うーんと悩んでいたら、すごく怒られたことがあります。そんな女心がわかるようになれば大丈夫です」

 
ひと言で言ってしまえば、

 
「なにを伝えたいのかがさっぱりわからない」。

 
認知症 “以前” からの相変わらずな飛ばしっぷりであります。しかし、この一見だと「なんの励みにもならなそう」な回答には、

 
「要点をズラすことによって、相談側の悩みの本質が霧散化され、最終的には悩んでいること自体がバカらしくなってしまう」

 
……という「人生相談」における “究極の奥義” が巧みに応用されている。


たとえば、「彼女ができません」といった悩みに対して、いきなり「じゃあ婚活アプリをやりなさい!」みたいなストレートな解決法を与えるのではなく、「大谷直子と辺見マリを合わせたようなパチンコ屋の女性店員」といった絶妙なラインのまったく別方向から、まるでメキシカンボクサーのトリッキーなパンチのごとくガツンとイッパツお見舞いすることによって相手をケムに巻く、じつにハイブロウな手法である。

 
ただ、誰がコレをやっても通用するほど人生相談界は甘くない。蛭子サンならではの「ひとでなし感」──ポジティブな表現に変えれば「神に近い孤高的な存在感」無くしては、単なる “酔っぱらいの戯言(たわごと)” として片付けられてしまうのがオチ……結論を申せば、叶姉妹と同様、やはり選ばれた者のみに許される「天上人(てんじょうびと)目線」こそが、蛭子サンの “放言” に、よりいっそうの滋味をもたらしているのではなかろーか?