さくっと気軽に食べに行ける立ち食い寿司は、寿司のカジュアルな楽しみ方として回転寿司とも異なる立ち位置を示してきた。(中略)そんな立ち食い寿司に今、変化が起きている。名だたる高級寿司店がセカンドラインとして立ち食い寿司を次々にオープンしているのだ。
……と、こんなようなことが書かれた記事を『食べログ』が運営するコラムコーナー『食べペディア』が配信していた。
たとえば、『鮨 龍尚』が手掛ける東京・新橋の『立ち食い寿司 あきら』、『鮨 りんだ』による荏原中延『ブルペン』、『鮨 銀座おのでら』による表参道『立喰鮨 銀座おのでら本店』……ほか、「省スペース」「回転率の高さ」といった利点に着目し、リーズナブルな価格で気軽に一流店の板前さんによる握り寿司を食べてもらおう……ってことらしい。また、若手(職人)に経験の場を用意し、活躍してほしい……みたいな狙いもあるのだそう。
常に高感度なアンテナをビンビンに時代へと張り巡らせるこの私もじつのところ、こうした「昨今における高級系立ち食い寿司店の開店ラッシュ」というトレンドをきちんとキャッチしていた。たしか、行きつけにしている美容室に置いてあった『dancyu』だか『東京カレンダー』だか『大人の週末』だかで読んだ(←高感度なアンテナw)……ような気がする。
さて。どれくらいリーズナブルで気軽なのか、前出の『立ち食い寿司 あきら』を一例に挙げると、本店は完全紹介制で「おまかせコース」が22000円だが、こちらは一貫380円〜880円ほど……とのこと。はたして、これって安いのか、高いのか??? 本店と比べたらややリーズナブルな気もしなくはないけど、寿司屋に行けば下手すりゃ20貫くらいは食べちゃいかねない大食感の私としては、おそらく一人1万円は軽く越えてしまうに違いない。立って食うのに万単位はチョット……でも、一流店の味をこの価格で堪能できるわけだしなぁ……金銭感覚がよくわからなくなってきた。
結論を申せば、私はこの手のお店にはたぶん行かないと思う。「寿司屋」としてはなんとなく、そのコンセプトがどっちつかずな感じがしてならないのだ。
だって、「立って食べる」のって、けっこう体力的にもしんどいですよ〜。長居できないし、他のお客さんとの間隔も狭くてせわしないし……。そこに1万円払うのって、どうなんでしょうかね? 立って食うならもっと安いお店に行きたい。どんなに高くても5千円以内に収めたい。リーズナブルに座り食いしたいなら回転寿司でもかまわない。もし高級な寿司屋に行きたきゃ、奮発して2万円なり3万円なりを正当に突っ込んで、ゆっくりとその味と雰囲気……それにお酒を満喫したい。
……とは言え、「1万円前後だったら、立ち食いでもいいので一流店の “仕事” を体感したい!」と考えるヒトが少なからず存在するという事実も十分に理解はできる。あくまで「私はおそらく行かないだろう」ってだけで、人それぞれ──「いや、オレは行ってみたい!」ってヒトのことを否定するつもりはさらさらない。
だがしかし! 行きつけにしている美容室に置いてあった『dancyu』だか『東京カレンダー』だか『大人の週末』だかで紹介されていた高級系立ち食い寿司店のなかに「おまかせコースのみ7600円」ってお店があった。え〜〜〜〜っ! つまみの小鉢から刺身に、最後のにぎりとお椀まで……ず〜〜〜っと立ちっぱなしっすか!? さすがにここだけには、「おそらく」ではなく「絶対」に私は行かないだろう。