『吉野家』常務の「◯○◯漬け」発言で、牛丼ファンが悲しんだもう一つのこと

 

4月16日に早稲田大学で行われた講義で、ゲスト講師を務めていた牛丼チェーン『吉野家』の伊東正明常務(49)が、ジェンダーに関する不適切な発言をしたことがメディアやネット上で大炎上している。

 
問題の発言があったのは、早大日本橋キャンパスで開催された社会人向け講座で、テーマは「デジタル時代のマーケティング」。その発言内容のおおよそは、以下のとおりであった……らしい。

 

「不適切な表現で不愉快な思いをする方がいたら申し訳ない」

(…としたうえで、若者を牛丼好きにする方法を受講生に提案させる旨で)

「(たとえば)地方から出てきた女の子が無垢(むく)、生娘(きむすめ)さんのうちに牛丼中毒にする。男性から高いメシを奢(おご)ってもらうようになれば、牛丼は食べなくなる(から)」

 
「はじめて吉野家を利用して、そのまま◯○◯(※←違法薬物の俗称)漬けになるような企画(を出してください)」

 
う〜〜〜ん、あまりにツッコミどころが多すぎて……どこから手をつけたらいいのか困ってしまうクラスの激ヤバワードがオンパレード! 「生娘さん」って!? 「さん付け」すりゃあいいってもんじゃないだろ。冒頭で私は「ジェンダーに関する不適切な発言」と書いたが、百歩譲ってそのへんの発言を抜きにしても、まさかワセダ主催のマーケティングを学ぶ講義で「◯○◯漬け」なんて単語が飛び出すとは、受講者の皆さまだって夢にも思っていなかったに違いない。

 
もちろん、これら一連の「問題発言」を擁護する気はさらさらないが、おそらくこの伊東某氏なるヒトは、

 
「第三者になにかをプレゼンする場合は、なるべくわかりやすくて身近な、さらには多少の毒を含んだインパクトの強い実例(比喩)に置き換えるべき!」

 
……みたいなビジネス訓を座右の銘とし、それが偶然運良くコンプライアンスの網をくぐり抜け続けて、常務の座まで登り詰めたのではなかろうか? ヤクザ社会の専門用語を会話中に盛り込むのが好きなヒトって、どの世代にも一定数いますしね……?

 
あと、49歳という年齢を考慮すれば、この伊東某氏が社会人デビューした90年代半ばは、まだバブルの名残で「吉野家で女性が独りで牛丼を食べるという行為」が「信じられない!」と揶揄されていた時代であり、あのころの感覚をずっと引きずっているのではなかろうか?

 
しかし、最近は吉野家でも一人女性客って、けっこういるじゃないですか。それって、吉野家をはじめとする牛丼屋さんたちの営業努力による成果じゃないですか! 一人で入る勇気がないならテイクアウトするなりウーバーイーツで注文するなり……と「家食」の方法も充実している。

 
とにかく、私は

 
「男性から高いメシを奢(おご)ってもらうようになれば、(女性は)牛丼は食べなくなる」

 

……ってくだりがすごく悲しかった。「男性=奢る/女性=奢られる」といった古臭いステレオタイプな関係論にもげんなりだが、「高いメシを奢ってもらった」だけで食べるのが嫌になる程度のチンケな食い物なのか!? 吉野家の牛丼は? もっと自社の看板メニューに愛情を持ってくださいよ! ここまで女性客を増やした実績を誇ってくださいよ! 

 
今年還暦を迎える私は、そこそこ長く生きてきただけあって、寿司・焼肉・フレンチ・イタリアン・中華・エスニック……と、それなりの贅沢をしてそれなりに高級なモノも食ってきた。が、どんなにお金があり余っていても(※あり余ってはいないがw)、「今日は絶対に吉野家の牛丼しか食べたくない!」って日がたまに……どころか、けっこうある。こんなにも深い愛情を吉野家に抱いているユーザーが少なからず実在するのに、提供する側のトップがそんなにも捨て鉢(ばち)な表現を平気で公言してしまうとは……!? もうドン引きであります(T . T)

 

 

<後日談>

前出までの原稿を入稿した直後、『吉野家』は伊東正明常務を4月18日付で解任したことを発表。また、伊東某氏なる人物は大学を卒業後、外資系企業などで20年以上にわたってマーケティングに携わり、2018年の10月に『吉野家』の常務となり、商品開発や販売促進を担当。同社の業績をV字回復させたことから「敏腕マーケター」と呼ばれていた……という事実が、ゴメス調べによって判明した。なるほど、「吉野家の牛丼」も伊東某氏にとっては “単なるメシの種の一つ” でしかなかったわけで、だからゆえの「愛情の無さ」だったのか……と納得 “だけ” はできました。