必要なのは圧倒的な自分磨き? 芸能人など“特殊”な人のみに宿る「オーラ」の正体について仮説を立ててみた

 

どこぞの恋愛系ネットメディアが「イイ男を捕まえるためのオーラを身につける方法」みたいな記事を配信しており、そこで提唱されている「方法」は

 

・堂々としている

・いつでも目立っている

・自己肯定感が強い

・清潔感のある見た目

 

……の4つであった。たしかに「オーラを身につける」ための "心がまえ" のホンの一部の一部としては間違っちゃいないのかもしれない。だがしかし! はたして「オーラ」とは、この程度の努力で本当に発散できるようなシロモノなんだろうか?

 

私は常々「オーラ」ってヤツの正体を成文化……できれば科学的に証明してみたい、なんて大それたことを考えていた。もしそんなことができたら、それは下手すりゃノーベル賞クラスの "偉業" だとも言えるが、とりあえずはこれまで私が私なりに取り組んできた研究の成果としてたどり着いた「仮説」のいくつかを聞いてもらいたい。

 

まず、私は過去にわりと有名な某ジャニーズ系タレントと二人で東横線の急行列車に乗ったことがある。その彼はマスクをしているだけで、「キミ…電車とか乗るんだ?」「うん、全然乗るよ」「まわりにバレたりしないの?」「全然大丈夫」……と、どこ吹く風といった様子で私のとなりに座ってスマホをいじっていたのだが、私はいつか誰かが騒ぎ出したりはしないか……と、内心ビクビクしていた。その彼が半端ない「オーラ」をただよわせている……気がしたからだ。

 

ところが、周囲の人たちはいっこうにその彼の存在を認知する気配もない……。つまり、私はその彼が著名人であるがゆえ、その彼に「オーラ」という名の "印" を勝手にマーキングしていただけであり、「一般人のなかに混じった著名人」という事実が、単にその彼の異質感を(私の脳内のみで)よりいっそう際立たせることになったのではなかろうか。そして、そういう「ある人 "だけ" に抱く個人の思い込み」が、イコール「オーラの正体」の一つなのではないか……と、私は推測する。

 

次に、昔『とんねるず』の石橋貴明だか木梨憲武だかが、なにかのテレビ番組で言っていたのだけれど、「芸能人は売れてきたら、顔がしゅっとひとまわり小さくなる」らしい。残念ながら、その理由までは明かしてくれなかったのだが、これはおそらく「美容整形手術でアゴのラインを削りました」とかって話ではなく、あらゆるメディアで普通の人の何十倍も何百倍もの喜怒哀楽を、顔面でわかりやすく表現しなければならない著名人は、売れれば売れるほどにおのずと表情筋が鍛えられ、結果として「顔がしゅっとひとまわり小さく」見えるようになるのではなかろうか。これもまた一つの「オーラの正体」だとも私は推測する。

 

あと、なによりも著名であるがゆえ「公私にわたって不特定多数の人から見られている」という宿命が育む、ある種の「無根拠ではないナルシシズム」──いわば、全裸で夜道を歩くようなヒリヒリとした緊張感こそが「オーラ」を宿す一つの大きな "養分" となるのではなかろうか。そりゃあ、誰しものなかに潜むナルシストな一面が「無根拠ではない」と自覚することによって肥大してしまったなら……イヤでも美容にだって過敏にならざるを得ないし、必要ならば植毛だって全身脱毛だって厭わないだろう。こうして「公私にわたって不特定多数の人から見られてしまう職業や立場にある人間」は(内面も含む)あらゆる "自分磨き" に尋常じゃない時間とお金と労力を費やしながら、知らず知らずのうちに「オーラ」を身に纏(まと)っていくのである。たぶん?