ちょっと前の話だが、6月25日の深夜、カンニング竹山がメインMCを務める『カンニング竹山の土曜The NIGHT』(ABEMA)が放送され、この日は街でよく見かける「お金持ちの美熟女の簡単なサポート」「高収入を狙おう!」「男性募集」……などの、男側にとっては魅惑的なキャッチコピーが並びおどるポスターの真相を究明する主旨の特集が組まれていた。
実際にスタッフが広告の電話番号に電話をかけてみたところ、女性のオペレーターが対応。不動産経営・社長夫人・社長令嬢・投資家……諸々のお金を持て余している30〜60代の女性と2時間から3時間デートして、目安としては2万円から3万円の報酬が見込める、とのこと。たしかに一聴すればオイシ……そうな話ではある。
で、この一連の "良いことづくめ" なシステムの顛末をかいつまんで説明すれば、「登録料」が10万円近くかかったり、「お金持ちの美熟女」を紹介してもらうごとに数万円の「仲介料」を取られたり、女性と会えたのはよかったものの「お小遣い」が5千円ポッキリだったり(※報酬はあくまでデート相手から渡される「お小遣い」のみで、業者側から支払われるわけではない…との噂)……と、結局のところはちっともオイシくなかった……ってオチであったわけだが、観ていてとても面白く、しかも実益的でありがたい内容でもあった。
私も自販機や公衆電話ボックスあたりの「剥がされにくいスポット」に貼られているこの手のポスターは前々から気になっていた。しかし、これでもう、たとえばパチンコで爆負けして茫然自失なまま街を彷徨い歩いていたとき、たまたま目にしたポスターに記載されていた電話番号をふらっとプッシュしてしまう……なんて風に魔が刺すこともないだろう(笑)。
それにしても最近はこういった、いわゆる「ガチンコ裏モノ系の潜入ルポ」的な企画って、めっきり見かけなくなりましたよね??? 実際、痛い目に合ってしまったり、チャレンジャーな性格だったりする “個人” がYouTuberやらブログやら掲示板やらでその “体験談” を報告するケースは無くもないが、テレビや雑誌といった既存メディアではほぼ絶滅状態……な印象がある。私も一昔前はコッチ系の凸撃モノをわりと得意としていたんですけどね〜。ここ数年、ソッチ系の仕事の依頼が入ってきた記憶はまったくない。
「大メディア」とも呼ばれる既存メディアのコンプライアンス的な縛りが厳しくなったがゆえ、アングラ方面にはなかなか手が出せない……ってえのは間違いなくあると思う。「潜入」のプロセスでかかる “経費” (※前出のポスターのケースだと「登録料」の10万円だとか「仲介料」の数万円だとか)もバカにならないし、仮に運良く経費扱いになったとしても、そのお金が「反社組織に回った」みたいな炎上騒ぎへと発展してしまう危険性もなくはない。
ただ、私だって「仕事」として受注した以上は、その経費を自腹で支払うつもりはさらさらない。10何万円も使って原稿料が3万円程度じゃあ完全に赤字だし、職業ライターとしてそれは絶対に許されない支出なのだ。
インターネット上にここまであらゆる情報が氾濫するなか、詐欺(まがい)行為に関する対抗策もちょちょいと検索するだけで、山ほど出てくる。そんな現実下では、ダマされるヒトも年々減ってきているのかもしれない。だが、「ダマされやすいヒト」は、いまだ「大メディア」にしか情報源を見いだせない層に集中しつつあるのもまたたしか……。なので! 今回取り上げたようなナイスな企画は……願わくばオンデマンドサービスのテレビだけじゃなくたまには地上波でも、できれば『ABEMA』と同様、多少のエンターテインメント仕立てでキャッチーに特集してもらいたい。