2ヶ月弱ほど前(6月14日)に内閣府が公表した『男女共同参画白書 令和4年版』の「特集編 人生100年時代における結婚と家族〜家族の姿の変化と課題にどう向き合うか〜」にあった
「20代男性の約4割がデート経験がない」
……という衝撃の調査結果を受け、さまざまなメディアで幾人もの識者の方々が「イマドキの若者のリアルな恋愛観」について、分析をなされている。たとえば『NEWSポストセブン』の取材に応えていた、若者心理に詳しい金沢大学教授兼東京大学客員教授の風間大介さんは、記事中で以下のように語っている。
「いい子症候群」の典型となる今の若者たちは、「相手が自分をどう思っているか」を気にしすぎるところがある。決して恋人が欲しくないわけではないが、自分に向けられる感情を恐れるあまり、「恋愛は精神の安定を乱す不安要素」として敬遠する。
たとえば、レンタカーを借りてドライブしても、「うわ、道を間違えちゃった。きっと今 “この人大丈夫?” って思われてる」などと事あるごとに相手の気持ちを考えて消耗してしまう。(中略)不安が行動を支配するため、提案もできなくなる。そうなるとデートも成立しません。
つまり、
「デートを “不安要素” と判断し、思い出づくりよりもリスク回避を優先する」
……がゆえ、デートはおろか異性とプライベートで関係することさえも拒絶し、スポーツや趣味や仕事へと逃避するという理屈である。
つい近日の話、そこそこしゅっとしていて爽やかな20代男子と『大阪王将』でレモンサワー片手に餃子を食べていると、その彼がけっこうな真顔で
「モテるって…面倒臭くありません?」
……と、いきなり愚痴りはじめた。そのときは、
「コイツはなにをわけのわからないことを言っているんだ? 頭おかしいんじゃないか!?」
……としか思わなかったので、「ふう〜ん…そーいうもんなのかね?」みたいな適当な返事で誤魔化しておしまい……だったのだが、なるほど! コレは我々オッサンに婉曲的なモテ自慢をしているわけでもなく、たまたまカノジョに浮気がバレて途方に暮れていたわけでもなく、風間教授がおっしゃるところの「いい子症候群」を患い、「デートをリスク」と見なす好例的なヤングでしかなかった……ってことなのか???
かくなる私も、50代半ばを過ぎたあたりから、女性とディナーとかまでこぎつけたはいいものの、そこから「あと一歩」を踏み出すのが、明らかに億劫となってきた。
「今日は、お泊まりしちゃう?」
……なんて誘って、
「そんなつもりじゃなかったのに!」
……と嫌われるのが怖くてたまらないし、仮に「お泊まり」は受け入れてもらえたとしても、ディナー中の飲み過ぎが原因で “使いモノ” にならなかった場合の気まずさもキツい。だったら、「ハイリスク・ハイリターン」なんぞ望まず、分相応に(?)サクッと終電までにデートを完結させ「余裕たっぷりのいいおじさん」とインプリントしてもらうほうが長い目で見てベターなのでは……と、そんな風に考えるようになってしまったのだ。
こうした慎重さを「正解」とすべきのか、それとも「強引さに欠ける」と自己批判すべきなのか……今の私にはジャッジできない。が、「決して恋人が欲しくないわけではない」のなら、せめて「デート未経験者」という、すぐにでも割れそうな薄い殻を破るくらいの気概程度は持ち合わせてもかまわないのではなかろうか。