【前編】芸能界から一転アートの世界へ…日本のチョークアートの第一人者Moeco氏が考える『アート』のこれから

 

親愛なるcitrus読者の皆さまは「チョークアート」なるワードを耳にしたことがおありだろうか?

 

チョークアートとは、読んで字のごとく「学校にあるような黒板とチョークを使ったアート」のこと。オーストラリア・イギリス・カナダほか、おもに欧米諸国の飲食店の看板などでよく見られる鮮やかなイラストやレタリングは、多くがこの手法によって描かれているんだとか……。

 

“キャンバス” となるのは、おもに「板」。その全面に特殊なインクを塗って、黒板調に仕立て上げる。(※そのインクが乗る素材なら板じゃなくても、たとえばガラスでもOK。ゆえにショップの看板や内装・外装のポップにも向いている)。

 

仕様画材はもちろん「チョーク」……とは言っても、学校にあるチョークみたいに2~3色しかないソレとは違って、色数は100色近くにもおよぶ絵画専用の本格的なもの。通常のチョークと比べ、油分が少々多めに含まれており、パステルよりもしっとりとした質感を表現でき、クレヨンよりも混色がしやすくグラデーションも付けやすい──といった特性がある。ほかにも、

 

・用意する物はチョークと板と特殊インクだけ

・小さい板に描くなら机の上でも大丈夫

・絵の具のように乾き待ちをする必要がない

・油絵やマーカーのように匂いが部屋につかない  

 

……などのメリットがあり(※ゴメスは元画材屋店員!)、その “手軽さ” もあって、日本でも徐々にその間口は開かれつつあるという。

 

そんなチョークアートに魅せられた、ある一人の女性がいる。名前はMoeco──かつては、上戸彩と同じ年に『国民的美少女コンテスト』でマルチメディア賞を受賞した女優さんで、自慢じゃないが(じつは、けっこうな自慢だがw)ゴメスとは古くからの友人だったりする。

 

 

 

2010年に「チョークアーティスト」としてデビュー。2012年には講師の資格も取得し、現在は自身の創作活動だけにとどまらず、国内では「第一人者的存在」としてチョークアートの講演や講座にも引っ張りだこ……なのだそう。

 

「芸能界に10代で飛び込み、それから10年…。ずっと気を張り詰めていた私のなかで、たまたま目にしたチョークアート。そのときなにかが弾けたんです。もう居ても立ってもいられなくなって…まるでギリギリまで引き絞った弓から矢が放たれるように、ニューヨークにまで渡ってチョークアートの勉強をしました」 (Moecoさん)

 

 

チョークアートは、黒板に描く落書きとは違って色とりどりのチョークを駆使し、指先で油絵のように塗り込んでいくのがスタンダードな技法であるらしい。

 

「筆ではなく指で描くので、体温によって絵のニュアンスが変わってくるんです。自分の肌の温もりが絵に込められていくというか…。『鶴の恩返し』で鶴が自分の羽根で機を織っていく姿に似たイメージがあります」(Moecoさん)

 

 

つい先日の9月16日〜26日まで、代官山のギャラリー『roarguns』で、久々の個人展を開催した。

 

 

 

 

しかし、他のアーティストと同様、新型コロナショックの影響はMoecoさんの創作活動にも、幾多もの苦難をもたらしたのであった……。

 

(※後編へと続く)

 

Moeco

1982年兵庫県神戸市生まれ。14歳で第7回『全日本国民的美少女コンテスト』マルチメディア賞受賞。18歳でデビュー(松下萌子名義)し、女優・歌手として活躍した後、2012年にニューヨークに留学。翌年2013年にはチョークアーティストとしてデビュー。以降、日本の「チョークアートの第一人者」として、美術界や多数メディアからも注目を集める。2023年の春にはロンドンの『sway gallery』にて個展開催予定。

 

 

Instagram:@moecochalkartonly