私の隠れ(?)愛読WEBサイトの一つである『現代ビジネス』が、結婚してわずか2年で離婚してしまった、とある夫婦の体験談を綴る記事を配信しており、とても興味深く拝読させてもらった。その内容は、おおよそだと以下のとおりであった。
大手企業に勤務する年収800万円の男性が自営業の美人女性と結婚。非の打ち所のないカップルとして他人からも羨望の眼差しを受ける夫婦の誕生であったが、妻は「仕事の付き合い」という “錦の御旗” のもと、週に何度も謎の飲み会に参加し、ときには朝帰りも。浮気を疑う夫は「毎日飲む、朝まで飲む、なんて大学生じゃないんだから。もうちょっと落ちついたらどう?」と詰め寄るも、妻は「これくらいで浮気を疑われていたら、私は仕事ができないわ」と反論。結婚して1年も経ったころには、お互いの口調もより攻撃性を増し、子どももいなかったので、結局は離婚へと到ってしまった…。
さて。今回、本記事のどこらへんが「興味深かった」のかと問われれば、少なくとも私の周囲にかぎっては……の話なんだが、コレと似たパターンで離婚した夫婦がじつに多いから……なんである。
ホンの一例を挙げると……たとえば、私の知り合いにこんな(元)夫婦がいた。
夫は旧財閥系の大手金融会社に勤務するイケメンエリートで当時30歳。おそらく年収だってすでに1千万円近くはあったんじゃないか? いっぽうの妻は当時27歳の駆け出し美人ライターで、彼女が独身だった時期からよく私も仕事で鉢合わせしていたことから、なんとなく仲良くなり……結婚式にも呼んでいただいた。物事を捉える独自の目線にはキラリ光るセンスがあって、文章も上手く社交性も抜群の、いわゆる「前途有望な人材」であった。
おカタい老舗系の金融会社に勤めているだけあって、披露宴でも夫の友人は、いかにも生真面目そうな好青年ばかり。そんななか、彼女の華やかな容姿と、「ライター」という彼らからすればほとんど馴染みがない職業……さらには異星人のように理解不能なオーラを放つ(私も含む)彼女の友人群は、さぞかし「新鮮(=奇異?)」に映ったに違いない。
おそらく、彼らからすれば「女性(美人)ライター」なる肩書きは「自宅でカモミールティとかを飲みながら髪をヘッドバンドで束ね、丸いテーブルにポツンと置かれたノートパソコンのキーボードを叩くエッセイスト」みたいなイメージだったんだろう。
「素敵な奥さんもらえて、オマエは日本一の幸せ者だな!」
……といった類(たぐい)の(夫側の招待客からかけられる)祝いの言葉にはとても切実感がただよっており、夫本人も終始目尻が垂れ下がりっぱなしであった……と記憶する。
ところが! この夫婦は結婚して1年足らずで離婚することになる。ある日突然、夫側から一方的に「別れよう」と切り出されたらしい。妻側からすれば、まさに「青天の霹靂」といった “通告” であり、夫が残した最後の一言は「キミの眩しさについていけなくて…」だったという。
その経緯(いきさつ)を(元)妻側から聞いて、私なりに推測した「離婚の原因」とは、こうである。つまり、(元)夫は
「彼女の “仕事” に嫉妬したのではないか」
……と。
もちろん私が知るかぎり、彼女が他の男と浮気をしていたような気配は一切ない。だが、「才能に満ち溢れていた」とはいえ、彼女はまだ所詮「駆け出しライター」でしかなかった。「自宅でカモミールティとかを飲みながらノートパソコンのキーボードを叩く」なんて仕事ぶりが望めるはずもない。
〆切間際は朝まで編集部にカンヅメ状態もしょっちゅうで、イレギュラーな地方取材が入っても断ることはできず、急な外泊をしなければならないことも致し方なし……。なのに、根がポジティブな彼女は愚痴一つ言わず、「今日インタビューでジャニーズの◯◯クンと会った」だとか「出張先の小樽で食べたお寿司がめっちゃ美味しかった」だとか……の “楽しい部分” のみを切り取り、(元)夫に報告していたのではなかろうか?
そして、そういう彼女の “イキイキとした姿” に、年収では大きく上回っていたはずの(元)夫は
「オレは毎日判を押したようなルーティンワークで疲弊し切っているのに、キミは毎日が新しい出来事の連続でストレスレスですか…」
……という想いが燻りはじめ、それが次第に
「キミが自由に楽しく仕事ができるのも、オレがキツくてつまらない仕事で金を稼いでいるから」
……といったジェラシー混じりの “八つ当たり” にまで発展してしまうのだ。
このケース……正直申して、特効薬的な解決法を、私には捻り出すことができない。ただ、あえてアドバイスするなら、一つは大手広告代理店の夫を持つタレントの黒木瞳のように
「同じではなくても、ある程度近い職種の伴侶を見つけること」
じゃなければ、
「夫婦で仕事の話題を共有するときは、愚痴も適度にフレイバーすること」
……が意外とポイント……なのかもしれない。