讃岐うどん「ネギだく問題」で露呈した店の姿勢と客の自由
J CASTニュースによると、ドリドールジャパン(神戸市)が展開する讃岐うどんチェーン『丸亀製麺』の公式ツイッターに、一部の香川県民が噛みついた……らしい。
発端となったのは8月24日、『丸亀製麺』が、器からこぼれるほど大量の青ネギを盛り付けた写真とともに、
「ぶっかけうどんにネギをこれでもかと乗せて食べてる方を見かけたのでやってみました! これネギ好きにはたまらないですね!」
……と紹介したツイートだったという。あくまで「一つの食べ方」を「ネギ好き」のカテゴリーに括ったうえで、とくにそれを推奨しているわけでもない、いかにも“炎上”を嫌う企業の公式ツイッターっぽい、万全の注意を払った投稿だが、8月24日の夜、これに過激な反応をツイッター上(※すでに削除)で示したのが香川県高松市にある讃岐うどん専門店『ふる里うどん』の店主である。その内容は以下のようなものであった。
「讃岐うどんの文化壊すの止めてもらえないですか?」
(続けて、今はネギが高価な時期にもかかわらず、香川のうどん店がセルフサービスを続けている理由について)「人件費減らしてでも安く『讃岐うどん』出したいからなんだよ!」
「何故こんなこと書く? 泣きたい」
そして、こうやって讃岐うどんに対する熱い想いを訴えた店主の投稿は反響を呼び、ツイッターやネット掲示板には
「ネギの苦味でうどん本来の味が殺されるということに、何故気付かないのかねえ?」
「丸亀製麺がネギ大量に乗せてもいいよ的な奴を投稿したら香川のうどん屋で真似するバカ県外民が出るんだよ」
「個人で死ぬほどネギ入れてる人は今までもいたんだろうけど、公式アカウントが発信するのは迷惑なのでやめて」
……ほか、フォローのコメント“も”多く寄せられた……のだそう。
う〜ん……讃岐うどん、たしかに美味しいけど、近所に讃岐うどん店がなけれればなかったで別に困るほどでもないクラスの愛好者でしかない私からすれば、こんな風にインネンをつけてくるお店にはあまり行きたくないなぁ……ってえのが正直なところだ。仮に、この『ふる里うどん』の横に、まったく同じサービスと価格で少々味が落ちるうどん専門店があれば、たぶんそっちに行ってしまう。だって、せっかく入れ放題なら……ネギ、いっぱい入れたいもの。さすがに器からこぼれるくらいまでは入れないけど……。
たとえば私は「スープをじっくり味わってもらいたいので、なるべく胡椒は入れないでください」みたいな注意書きがあるラーメン屋が、あまり好きじゃない。無類の胡椒フェチである私としては、あったらあったでどうしても入れたくなっちゃうからである。「胡椒を入れてもらいたくない」なら、店内から胡椒を一切無くしてしまえばいい。現に「スープをじっくり味わってもらいたい」がゆえ、胡椒をテーブルに置いていないお店はいくつかあったし、実際そのスープは胡椒を入れなくても文句なしに美味かった。
お店側が提示したい、明確な「理想の味」があるんだったら、“それ以外”にブレてしまう可能性のある要素はすべて排除してほしい。人手が足りないからセルフサービスにしているんだったら、せめて「理想のネギの量」を写真なり但し書きなりで説明したものを店内に貼り出してほしい。じゃなければ、私も含む「香川のうどん屋で真似するバカ県外民」に“黄金比率”を求めるのは、いささか酷すぎると思うのだ。「バカ」なんだから許してくださいよ……と。
ちなみに、今回の“炎上”には、もちろんのこと『丸亀製麺』側をフォローするコメント“も”多く寄せられており、そのなかで私の言いたいことをもっとも如実に代弁してくださっている名文を、最後に紹介しておこう。
「うどんとネギの最適なバランスを知ってるのは食う本人だけ」
『ふる里うどん』の店主さん、ついイラッとしてしまった勢いでツイートしてしまったんだろうけど、いったん火がついてしまったら、県外民をバカ呼ばわりする暴言までをも背負わなきゃならないハメになるので、アップする前に三度ほどの深呼吸をオススメしたい。
※情報は2018年8月30日現在のものです