【SNSで話題】「第3子に1000万円」だけじゃダメ!? 欧州の出生率を支えているのは「お金」だけではなかった

コラム

citrus 編集部

 

 

国民民主党代表・玉木雄一郎氏による「コドモノミクス」についてFacebookでは多くのユーザーがコメントしていますが、「第3子に1000万円」という政策は、海外からはどのように見えているのでしょうか。オーストリア在住のライジンガー真樹さんの意見をうかがってみました。

 

個人的には、第3子以降への手厚い給付はフランスの出生率回復の一因に過ぎないと思われ、単純に「第3子に1000万円給付」しても、同様の効果が期待できるかは少々疑問です。

 

福祉が充実しているヨーロッパ内でもダントツの出生率を誇るフランスと北欧諸国では、第3子以降に手厚くするのはもちろんのこと、多岐にわたる経済支援や税制優遇措置を設けるなど、長期的に見て安心できるシステムで、子供を産んだ際にも将来的な出費の心配が少なくなっている、というライジンガーさん。

 

例えばフランスでは、国立の高等教育費が日本とはけた違いに安く、児童手当は20歳まで支給され、家族の数が多くなるほど所得税負担が緩和される仕組みや、子どもを持つ人を優遇する年金制度なども存在します。

ヨーロッパの手厚さは、「経済的な支援」だけではないようで、

 

保育施設が整っている点も高い出生率を支えているのではと思われます。一例としては、

 

  • フランス…保育園・幼稚園のほかに保育ママ、ベビーシッター、オペア(※)といった多様な保育サービスが利用されており、補助金制度もある
  • スウェーデン…保育園の入園申し込みから3~4カ月以内に席を用意する義務が自治体にある
  • フィンランド…「保育園法」として、すべての子供に保育施設を用意する義務が自治体にある

※オペア:外国でホームステイ先家庭の子供を保育する見返りに報酬をもらって生活する留学制度

さらには、働きながら子供を産み育てやすい環境や文化が整っていることも大きな要因だと考えられるそう。
 

欧州の多くの国では労働時間が比較的短く、残業をあまり善しとしない文化があります。時短勤務でも正規雇用が多いため、安心して子育てに時間を割けるのも一因でしょう。

 

また、性別役割分担意識の衰退により、女性に負担が集中しにくい環境も出生率に貢献していると思われます。

 

たとえば、フランスでは女性の社会進出が進み、女性の就業率が日本と比べてかなり高いですし、スウェーデンでは父親に3カ月の育児休暇取得の義務があります。フィンランドでは父親の育児を促進するための「父親休業」取得率が8割にもなるというデータもありますし、アイスランドでは育児休暇を取得しなければ支給されない手当があるほどです。

高出生率のヨーロッパ諸国では、経済支援以外にも出産・子育てへのハードルを下げるさまざまな支援体制が整っているのが現状のようです。

 

日本でも第3子以降を手厚く援助するのと同時に、子育てに関する制度と環境を更に整備したり、日本固有の文化的・社会的要素や価値観にまで切り込んだ改革を断行しなければ、少子化に大きな歯止めをかけることは難しいかもしれません。

…という、欧州から見たライジンガーさんからのご指摘。みなさんはどう考えますか?

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