キャベツは食欲の秋の心強い味方! 謎の栄養素“キャベジン”の正体
ついつい食べ過ぎてしまう実りの秋。そんなときはキャベツを食べるといいかも。実はキャベツに含まれる栄養素・キャベジンが胃腸にいいと言われているんです。でも、そもそもキャベジンってどんな栄養素なの? という人も多いはず。キャベジンに関する素朴な疑問について、管理栄養士の望月理恵子さんに教えていただきました。
■胃腸の健康の番人「キャベジン」の効力とは?
胃腸薬の名前にも使われていることから、「キャベジン」という言葉は聞いたことがあるかもしれませんね。キャベツに含まれているというキャベジンには、どんな成分や働きがあるのでしょうか。
「キャベジンはアミノ酸の一種ですが、ビタミンに似た働きをするため、別名ビタミンUとも言われています。キャベツから発見された栄養素で、胃酸の分泌を抑え、胃粘膜を保護する働きがあります。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療や予防にも用いられる成分です」(望月さん)
キャベツ1玉(1kg)に3500μg含まれているというキャベジン。キャベツのほか、ブロッコリー、トマト、レタス、セロリ、アスパラガスにも含まれていて、胃腸の健康を保つ効果や、アレルギー症状を緩和する効果があるのだとか。では、キャベジンは1日にどのくらい摂取すべきなのでしょうか?
「薬のキャベジンの有効量(体内で効果を発揮するために必要な量)が25mgなので、薬と同等のキャベジン量を摂るにはキャベツを8玉ほど食べないといけないんです。ただ、1日50gほど(キャベツの葉1枚、キャベジン175μg)を摂ることで健康維持に寄与するとの報告もあります。カルシウムや鉄などのように目安量は決められていません」(望月さん)
さすがにキャベツ8玉は無理ですが、毎日の食事のなかで効果的にキャベジンを摂る方法をマスターしたいですね。
■キャベジンはあの食材と一緒に摂るのがおすすめ!
キャベジンが胃腸の健康を保つのに役立つというのは分かりましたが、効果的に摂取する方法はないのでしょうか。
「キャベジンは水溶性の成分なので、あまり細かく切りすぎないようにして生のままで食べるのがベスト。熱に弱いので、加熱する場合は、流れ出た成分も食べられるポトフや味噌汁にして煮汁ごと味わうのがおすすめです。特に、芯に近い内側の葉にキャベジンが多く含まれているので、芯ごと煮込んでいただくといいでしょう」(望月さん)
ちなみに、キャベツは低温で保管するとキャベジン量がアップするんだとか。また、相乗効果を期待できる食べ合わせもあるといいます。 「山芋、納豆、オクラ、モロヘイヤ、根昆布などのネバネバ系の食材と一緒に食べれば、ムチンとの相乗効果により胃粘膜を保護する力が上がります」(望月さん)
食べ合わせで効果を高められるのは嬉しいですね! 胃もたれが気になるときには、ぜひキャベツとネバネバ系食材を使った食事をとることを心がけましょう。
この秋は食べ過ぎ飲み過ぎに注意しつつ、キャベジンを味方にしてぜひ食欲の秋を楽しんでくださいね。