北海道ローカル局が総力を上げて制作したドラマ『チャンネルはそのまま!』が秀逸すぎる件

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聡明なるcitrus読者の皆さまは『チャンネルはそのまま!』なるタイトルのドラマをご存じだろうか?


 
テレビ朝日系のローカル局・北海道テレビ放送(HTB)が開局50周年記念作品として自社制作したドラマである。2019年の3月11日からNetflixで国内独占配信(3月21日からグローバル配信)、3月18日から22日までHTBでも5夜連続で放送され、同年の秋には日本民間放送連盟のテレビ部門でグランプリを受賞した。そして、その好評を受け、今年の1月にはキー局のテレビ朝日でも放送された。


 
もう少々解説をつけ加えておく。本ドラマは『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で2008年から2013年まで、月一回のペースで連載された同名漫画を原作としており、作者は北海道在住の佐々木倫子さん。『おたんこナース』や、去年石原さとみ主演でドラマ化(TBS系)された『Heaven? ~ご苦楽レストラン~』……ほか、とぼけた女性を主人公にしたドタバタ劇を持ち味とする、私が大好きな漫画家さんの一人である。もちろん、佐々木さんの主要な作品はすべて取り揃えている。

 

ドラマ『チャンネルはそのまま!』の舞台は、HTBがモデルとなった北海道のローカル局『北海道☆(ホシ)テレビ』。そこに「バカ枠」として入社してきた破天荒キャラの雪丸花子が同期や上司、ライバル局までを巻き込みながらも成長していくさまを描いた内容で、主役の雪丸を演じるのは女優の芳根京子。他にも、かつて同局で制作された、深夜放送にもかかわらず安定的に高視聴率を稼いでいたという旅バラエティ番組『水曜どうでしょう』に出演していた大泉洋や、お馴染みのディレクター陣も登場している。あと、『東京03』や、北海道を中心に活動している、大泉洋も所属する演劇ユニット『TEAM NACS』の安田顕……といった通好みの面々が脇を固め、ももクロの百田夏菜子がカメオ出演も果たした。


 
さて。去年の話とはいえ、また、いくら「聡明なるcitrus読者様」とはいえ、おそらくまだこのドラマのことを知らない人もじつのところ、多いのではなかろうか? したがって「もう少々〜」だけのつもりが、かなり長い解説になってしまった。私も恐縮ながら、知らなかった。5チャンネルで『相棒』を録画するため番組表を眺めていたときに、たまたま偶然目に留まったから急いで予約した……そんないきさつであった。

 

予想以上に面白かった。佐々木倫子ファンとしていささかジャッジは甘めになりがちな点を差し引いても、十分な見ごたえのある「相当に良質なドラマ」だと断言する。キー局がふんだんな予算をかけて制作した『Heaven? ~ご苦楽レストラン~』よりも、佐々木倫子さんの世界観は忠実に再現されていた……と、私は思う。とくに最終話の大泉洋の演技は鬼気迫るものがあった。「お義理的にチョイ役で出演していただけ」と最初はたかをくくっていたのだけれど、やはり「あえての起用」には、きちんとした裏付けがあったわけか?

 

「通好み」ではあっても主役が芳根京子、それにプラス大泉洋・安田顕・東京03……と、たとえば『グランメソン東京』なんかと比べたら、キャストの面々は総じて渋め&地味めだったりする。正直、準主役クラスを演じているのも見慣れない役者さんばかりだった。だが、逆に「地味な配役」「見慣れない役者ばかり」だからこそ、ローカル局の立場やキー局へと抱く複雑な心情……などがより鮮明なかたちで浮き彫りにできたという見方もできなくはない。
 

スポンサーの意向に囚われることのない有料放送局『WOWOW』が制作するドラマが評価されつつある昨今、また違った意味でキー局よりも“縛り”がゆるいローカル局が、こういったドラマづくりに積極的な姿勢でトライし、それがこうやって口コミやインターネットで全国区へと広がっていくのは、とてもいい傾向なのかもしれない。さらには、このトレンドの火種が、テレビをはじめとする「メディアの中央集権」を打ち破る、真の「地方分業」への鍵となることを心底から願いたい。

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ネットニュースパトローラー

山田ゴメス

1962年大阪府生まれ B型。 ネットニュースパトローラー(※citrus限定肩書き。たまにスポーツ新聞や週刊誌も。略して「NNP」)。 関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッショ...

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