【納得】“加熱用”と表示されている牡蠣を、生のまま食べてはいけない恐ろしい理由

コラム

後藤拓也

 

■“生食用”と“加熱用”を分けるもの

 

スーパーに並ぶ牡蠣の“生食用”と“加熱用”というパッケージの表示について、獲れたて新鮮なのが生食用、そうではないのが加熱用だと思っている方が多いのではないでしょうか。実はこれ、大間違いなのです。

 

生食用か加熱用かを決めるのは、主に牡蠣が獲れる海域の違い。大まかにいうと、各県の定める指定海域で獲れた牡蠣が生食用、それ以外の海域で獲れた牡蠣が加熱用として出荷されています。このように、牡蠣が海域で分けられているのは、その生態に理由がありました。

 

 

■新鮮だからといって、生で食べていいわけではない!

 

1日に300リットルもの海水を吸い込んで、養分を取り込みながら成長するという牡蠣は、その分、さまざまな成分を身のなかに保有することになります。

 

付近の山や川から栄養素が流れ込むため、河口や沿岸で育った牡蠣は、身がよく成長し、味が濃いものになるそうです。しかし、そうしたエリアには雑排水も入り込んでしまうため、有害なウイルスや食中毒菌を体内に蓄積してしまう可能性も、当然高まります。

 

つまり、牡蠣がウイルスなどに汚染されていた場合、生で食べたら感染してしまう可能性があるといえるでしょう。いくら新鮮でも、生で食べるのは危険だということで、加熱用の牡蠣として販売されているのですね。

 

 

■生食用は徹底的な安全対策が行われている

 

一方で生食用の牡蠣は、河口や沿岸から離れていて、水質のよい指定海域で収穫されます。そうしたエリアで獲れた牡蠣の身には、当然有害な成分は少なくなりますが、栄養素や旨味成分も減ってしまうそうです。

 

また、生食用の牡蠣は、“浄化”という工程を経て出荷されています。前述した牡蠣の性質を活かし、紫外線殺菌された海水に2~3日入れることによって、牡蠣の体内にきれいな海水を取り込ませ、毒素を吐き出させているのです。しかし、この間の牡蠣は断食させられることになるので、身が痩せてしまったり、水っぽくなったりすることもあるのだとか。

 

なので、生食用の牡蠣より加熱用の牡蠣のほうが身は太っていて味が濃く、おいしいといわれているそうなのですが……。もちろん、加熱用の牡蠣を生で食べれば、食中毒などになる危険性があります。生食特有のおいしさは、安全対策が行われている生食用の牡蠣だけで味わい、加熱用の牡蠣は、お鍋に入れたりフライにしたりして、その豊富な旨味を楽しむようにしましょう。

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