まだ見てないの!? 食わず嫌いは卒業しよう―“平成ガンダム3部作”のススメ
■『機動武闘伝Gガンダム』:異色作でありながら正統派?
『機動武闘伝Gガンダム』(以下、Gガンダム)は、世界各国が宇宙に居住地としてスペースコロニーを建造し、富裕層が宇宙に移り住んだという世界観。地球と宇宙に分かれた人間の戦争を舞台にしたこれまでのシリーズは一線を画し、4年に1度開催される、国家間の主導権を争う代理戦争「ガンダムファイト」が描かれている。
『Gガンダム』はメインモチーフとして格闘技が取り入れられ、独特の世界観を形成。そこで繰り広げられる個性豊かなガンダムのバトルと、その乗り手である「ガンダムファイター」たちの熱いドラマが、ファンから根強い支持を得ているのだ。
一方で、宇宙と地球に分かれ住む人間の格差や、人間同士が歩み寄ることの難しさなど、ガンダムシリーズがそれまで描いてきた主題に対して、独自のアプローチで描き切っていることも特徴。挑戦的でありながらも普遍的な面白さを持つのが、『Gガンダム』最大の魅力ではないだろうか。
■『新機動戦記ガンダムW』:複雑に絡み合う人間模様が魅力
『新機動戦記ガンダムW』(以下、ガンダムW)は、宇宙コロニーの統治しようとする「地球統一連合」への反抗のために送り込まれた、5人のガンダムパイロットが主人公の物語。
地球と宇宙の戦争という点では、『Gガンダム』以前のガンダムシリーズに近い世界観だが、眉目秀麗な登場人物たちのエキセントリックなキャラクター性や、彼らの行動で目まぐるしく変わる世界情勢と人間関係の面白さによって独特の魅力を生み出し、続編OVAが製作されるほどの人気を博した。
ガンダムシリーズが内包していた、キャラクタードラマとしての面白さを押し出した『ガンダムW』の作風は、21世紀のガンダムシリーズにも強い影響を与えている。いわば『ガンダムW』は、ガンダムシリーズの過去と未来をつなぐ作品だともいえるだろう。
■『機動新世紀ガンダムX』:戦後を生き抜く少年少女の成長ドラマ
戦時中を描いてきたこれまでのガンダムシリーズから一転、『機動新世紀ガンダムX』(以下、ガンダムX)は、地球とスペースコロニーの全面戦争によって、人類が壊滅的な打撃を受けたあとの世界が舞台だ。
『ガンダムX』の主題となっているのは、兵器の残骸などを売って生計を立てる主人公「ガロード・ラン」と、特殊な能力の持ち主「ニュータイプ」のヒロイン「ティファ・アディール」の心の交流。
2人がさまざまな人間と出会い、心を通わせることで成長を遂げ、荒廃した世界から新たな時代を創ろうとする姿は、従来のガンダムシリーズにはない爽やかな魅力があり、今でもファンに愛され続けている。また、ニュータイプなどかつてのガンダムシリーズを想起させる要素を作品に取り入れるというメタフィクション的な構造も、『ガンダムX』の特徴だ。