今やお笑い芸人の「憧れのヒト」に!? YouTuberヒカルの『大スター宮迫にサイゼ奢ってみた』動画を見て気づいたこと
2017年に自身の仮想株式(VA)の売買に関する一件で活動を自粛しながらも、それさえネタへと転じ、現在では378万人のチャンネル登録者数を誇るカリスマYouTuberヒカルが、例の闇営業騒動の中心人物として低空飛行を余儀なくされている『雨上がり決死隊』の宮迫博之と“コラボ”を果たしたYouTube動画が話題になっている──みたいなことを『ORICON NEWS』が報じていた。
タイトルは『大スター宮迫にサイゼ奢ってみた』(※←呼び捨て)。なんでも「サイゼリヤに行ったことがない」という宮迫に「どうせ叙々苑ばかり行ってるんでしょ」とツッコミながら、「ミラノ風ドリア」「マルゲリータピザ」「辛味チキン」などサイゼの定番メニューを勧め、それを宮迫が「うまっ!」と感動しながら食していく……といった流れであるらしい。ちなみに最初のコラボ動画『【独占告白】宮迫さんに闇営業の件について直接聞いてみた』は500万回を超える再生数を記録。他にも「大スター宮迫に○○してみた」シリーズは「薬物検査してみた」「ラーメン奢ってみた」……などがあるという。
……と、ここまでの原稿を書いた時点で私はこれらのコラボシリーズを一つも視聴していなかったのだが、さっそく「サイゼ」編をチェックしてみると……ヒカルの年輩をモノともしない容赦ない物言いに、時たまイラッとした表情を見せながらも、久々に宮迫の生き生きした表情を見ることができた……というのが率直な印象である。やっぱり、一度はアソコまで上り詰めた芸人さんだけあって宮迫側も、こうした“未知の人種”とのやりとりでも自分の“現状”と“スタンス”を瞬時で適確に把握し、小気味よいリアクションを演じており、なんだかんだいって実力のあるヒトなんだなぁ……と、ちょっぴり感動もした。
今や、YouTuberヒカルは、東野幸治・陣内智則・霜降り明星の粗品……ほか、ベテラン・若手を問わず、YouTubeに対して前向きなお笑い芸人らが「紹介して!」「尊敬しています!」と続々公言する“リスペクト”の対象……なんだとか。芸術家の村上隆も、自身のインスタグラムで彼の“作品”を絶賛していると聞く。テレビがまだスポンサーとの兼ね合いとかで、当分のあいだは起用を断念せざるを得ない宮迫を、こうも自由に“泳がす”ことができるYouTubeというメディアから生まれてくる“想定外な才能”の表現力と発進力に、既存メディアの限界を突破する新たな可能性を見いだしているのだろう。
そして、YouTuberのもう一人の雄であるヒカキンが3月28日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、不要不急の外出自粛を呼びかける動画を自身の公式チャンネルに投稿した。政府や小池都知事をはじめとする自治体の懸命な呼びかけにも応じず、夜な夜な繁華街を練り歩く若者たちがこの数日バッシングの嵐に晒されているが、最近の若者は本当にテレビを観ないのかもしれない(※実際、自宅にテレビがないという20代も私の周囲には複数実在する)。だから、単純にその「呼びかけ」が彼ら彼女らには、ネット上に氾濫する無味乾燥な“文字”でしか届いていないのではなかろうか。
そんななか、YouTubeという若者に馴染みが深いメディアの第一人者が、その“伝達不足”を“得意分野”で“フォロー”する行為は、じつに大きな意義がある……と、私は思う。(たとえ、直接的なメッセージを発信するのではなくても、面白い動画をアップすることが自宅に閉じ籠もる若者たちのストレス発散へとつながるなら、それはそれで十分な貢献を果たしていると言える)
で、おくればせながら数週間前にYouTuberとしてデビューした私も、ヒカキンのような啓蒙活動を、YouTubeを通じて展開し、少しでも日本のお役に立ちたい……なんて構想は練っているのだけれど、現時点で視聴者数が500強しかいない私のチャンネルでは、その高邁な想いもただ虚しく響くだけなのであった……。