『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は第1作『序』が2007年に、第2作『破』が2009年に、第3作『Q』が2012年に公開されている。

 

そして、2020年6月27日公開予定であった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』（以下「シンエヴァ」）。13年かけて描かれた新劇場版の完結編だ。そこで今回は、主人公の父である「碇ゲンドウ」が、シンエヴァでどうなるのか考察してみたい。（※4月17日に公開延期が発表され、公開日は未定）

 

 

■碇ゲンドウとは

 

「エヴァンゲリオン」によって人類の敵「使徒」の殲滅を目的とする特務機関「NERV（ネルフ）」。その最高司令官が碇ゲンドウだ。

 

ゲンドウの妻である碇ユイはEVA初号機の制御システムとなって消滅し、初号機のパイロットは息子の碇シンジが務めている。消えたユイとの再会を果たすため、使徒との戦いの裏で人類に文明を与えた生命体「SEELE（ゼーレ）」と共に、「人類補完計画」を進めている。

 

 

■『序』『破』『Q』での言動

 

『序』では使徒の殲滅を当面の目的としていたゲンドウ。だが、『破』ではSEELEの目的が達成される前に、シンジとユイの複製体である綾波レイを利用し、初号機を覚醒させた。

 

『破』から14年後の『Q』では、副司令官である冬月コウゾウ以外のNERV職員を敵に回しながらも、人類補完計画と神殺しを成し遂げるために暗躍。目的の達成のため、SEELEから送り込まれた第1の使徒「渚カヲル」を、第13の使徒へと堕としたうえで排除、EVA第13号機を覚醒させ、SEELEを抹殺した。

 

息子であるシンジや、身の危険も顧みず助けようとしたレイすらも、自分の目的の駒として扱う冷酷な人物。しかし、『破』ではNERVから離れようとするシンジに対して助言し、『Q』では意図的にシンジとの距離を置こうとしていることが、冬月とのやり取りから類推できる。これらのことから、シンジに関しては本当に目的のために利用しているだけなのか現時点では不明だ。

 

 

■『シンエヴァ』ではどうなる？

 

『シンエヴァ』においてもゲンドウは、今は亡きユイと再会するために、人類補完計画を進めていくだろう。そして、目の上の瘤であったSEELEを排除したゲンドウの前に立ち塞がる最大の障害として予想されるのは、息子であるシンジである。

 

冷徹に謀略を巡らせるゲンドウだが、『破』の終盤では、レイを救出するために初号機に乗り込もうとするシンジの迫力に気圧される場面も…。結果的に、レイは初号機に取り込まれ、シンジはユイを喪ったゲンドウと近しい境遇に身を置くこととなった。

 

また、新劇場版ではかつてゲンドウが所有し、今はシンジが使用している音楽プレイヤーがドラマの中で重要なアイテムとして扱われている。このことから、『シンエヴァ』のクライマックスでは、過去3作品のなかで幾度となく描かれてきたゲンドウとシンジの親子関係が、大きくクローズアップされるのではないかと予想されるのだ。

 

そして、そこではゲンドウと、近い境遇ながらも異なる生き方を選択し、彼の策略を凌駕しようとするシンジとの、直接的な対峙が描かれる可能性も高いだろう。