漫画家・浦沢直樹さんの「アベノマスク」イラスト炎上から垣間見える「不謹慎ゾーン」拡大の恐怖
『YAWARA!』『MONSTER』『21世紀少年』……などで知られる人気漫画家・浦沢直樹さん(60)が4月2日の夜、自身のツイッターで「アベノマスク」と題して公開したイラストが、ちょっとした炎上状態になっている。
イラストは、連日の激務でお疲れの様子な安倍首相が、アゴのはみ出た小さなマスクを着用している、ドローイングによるバストアップの似顔絵。ところが、同“作品”を巡って、「浦沢さん、最低です」「批判だけして嘲笑して気分いいか」「頑張って人をおちょくる人だったんですね」……ほか、激しい批判のツイートが殺到しているというのだ。
私は正直なところ「とても味のあるいいイラストだなぁ…」「浦沢先生に似顔絵を描いてもらえるなんて羨ましい」……くらいの、むしろ肯定的な印象しか頭に浮かばなかった。最小限にまで抑えられたシンプルな線だけで、こうも「日本という国を背負う国家宰相の憂い」を描ききるとは、さすが「超一流」と呼ばれる漫画家の表現力とデッサン力に敬意の念さえおぼえもした。
いろいろ物議をかもしている「一世帯に2枚の布マスク配布」政策だが、私個人としては、どこに行ってもマスクが全然購入できない、しかも、この実状がしばらく続くであろうと予測される今、それなりの効果は期待できるのでは……と考えている。けれど、テレビでの会見を観て「安倍サン、マスク小さすぎ!」とは、ついツッコミたくなった。浦沢さんも、とくに問題のイラストについての意図のようなものを解説するコメントは付記なされていない。ただ、目の前にあった“描くに値する”被写体を、そのまま描いてアップしているだけなのである。
あと、『デイリー新潮』が、ネットニュース編集者の中川淳一郎さんが執筆した『コロナ拡大と“風呂好き清潔”日本の関係は』なるタイトルのコラムを配信していた。
「フランス人にとってセックスは、汗も含めた身体の匂いも重要ゆえ、行為前にシャワーを浴びる日本人の感覚は理解できない(2007年に韓国のニュースサイトで配信された記事からの引用)」
「日本人が『便所で用を足したら手を洗いなさい』と教育されているのに対し、アメリカ人は『小便を手にかけないよう気を付けろ』と教育されている」
……みたいな海外事情をいくつか実例として取り上げ、これらの“文化や教育の違い”が「日本での新型コロナウイルスの感染者数が意外と少ない」遠因の一つになっている……のでは、と推察する内容で、
(刺身や生卵を食すること以外は)海外から潔癖だと思われている日本人ですが、今回はそれが若干功を奏したのかもしれませんね。というか、まだそう言うには早いけど。
……と、同コラムを結んでいる。「かもしれない」に「まだそう言うには早いけど」という念入りなひと言までをかぶせた、じつに慎重な「〆」だし、「へえ…そうなんだ」風に、私なんぞは面白く拝読させていただいたクチではあるのだけれど、こうしたコラムにさえ、ヤフコメ欄をザッと眺めていたら、
「もう少しデータベースで記事を書いて欲しい」
「現段階においてはこういう記事は蔓延を助長するだけ」
……的な批判論調のコメントが散見しており、ここ最近で「不謹慎ゾーン」が大幅に拡大されている事実に、いささか怖くなってしまった。コレくらいの“遊び心”でも、やっぱダメですか??? 下手すりゃ「面白く拝読させていただいた」時点で、私もアウト……なのか?