不思議の国を体感する恐怖
芸人「本日は晴天なり」こと栗田育美……彼女は不思議な症状にずっと悩んできた。
物心ついたころから熱を出したりすると、その症状は現れた。家族はすぐ隣で寝ているのに……部屋が伸び、すごく遠くにいるように見える。ある時には、自分の体の一部が……どんどん大きくなる。実際にそう見え、感じる。部屋に入りきらなくなるのでは……とすごく不安になった。
家族には「夢でも見たんでしょ」と言われるだけのような気がして言えなかった。実は彼女のこの体験……今も解き明かされていない、不思議なある症候群だったのだ!
そして、栗田と同じ症状に苦しむ少女がいた。その母が、Kさん。
Kさんは、2002年に長女を出産した。そして娘が4歳のある日……体調の異変を訴えた。早めに寝かしつけたその直後...娘の部屋から悲鳴が! かけつけてみると、娘が何かにおびえていた。
そして、なぜか母である自分をひどく怖がる。実は、娘の目に映った母は、顔がゆがみ、巨大化していた!
こんな興奮状態から数十分経過し、娘は疲れたのかようやく眠ってくれた。尋常ではない様子……しかしKさんには、なぜあんなに怖がったのかわからなかった。翌朝……なんと娘は昨夜のことを何も覚えていなかった。しかしその後も……熱を出すたび、同じ状態に。こうなると、Kさんのことを怖がり、逃げ惑う。
しかし、外ではむしろ他の子に比べおとなしく、手のかからない子だという。成長すればおさまることかもしれない。そう考えて……6年が経った。兄弟もできて、ずいぶんとしっかりしてきたが、熱を出すとあの症状が出た。
■一番怖いのは……母である自分?
しかし小さい頃とは違い、どういう異変が起きているか話せるようになった娘。どうやら熱を出し、寝ようとすると……部屋の壁がすごく先にあるように見えたり、小さな物がとてつもなく大きく見え、それがすごく不安だったという。
だが、実は一番怖いのは……母であるKさんだという! 不思議な世界にいるとき、娘の目には……ママの顔が巨大化して見える! 本人にとってそれはとてもつらいこと。今日は普通に見えても、またいつあの不思議な世界が見えてしまうのかと、とても不安だった。
そんなある日……つけっぱなしだったテレビ番組で気になる特集を放送していた。それはある症状に悩んでいる家族を取り上げた番組だった。ものの見え方が実際と違って感じられてしまう……という症状。『不思議の国のアリス症候群』という名前がついているという。自分の娘と、同じ症状だった。
『不思議の国のアリス症候群』
それは、目に異常があるわけではないのに、ものが大きくまたは小さく見えたり、距離が違って見えたり、視界がひずんだように感じられるものなど、症状は実にさまざま。「不思議の国のアリス」で、アリスの体が大きくなったり小さくなったりすることにちなみ、名づけられたものだが...実は作者のルイス・キャロル自身にこの症状があり、自分が経験した世界を書いた……という説もある。
ほかにもピカソや、作家・芥川龍之介らにも、これと似た症状があったという説も……。ピカソのあの独創的な作品は、この症状の産物だったのかもしれない。貴子さん夫婦はその後、詳しくこの症候群について調べた。この症候群の症状そのものへの治療法は、いまだ確立されていないと知った。
そんな時……また娘が熱を出した。オロオロするばかりのKさんをよそに、夫が……驚きの行動に出た! 夫は、母を怖がる娘の様子を携帯で撮影し始めたのだ。翌日、娘にその動画を見せた。自分を客観視させてみようという考えだった。
すると、動画を見た娘は笑い出し! ママの顔は大きくなんかない。なのに怖がる自分。娘は……何度も何度も繰り返し見て、楽しげに笑っていた。これが何かのきっかけになったのか、娘の症状は変わらないものの、以前のようにパニックにはならず、落ち着けるようになったという。(2019年5月21日 ON AIR)
ザ!世界仰天ニュース
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