「好きな女性タレントの顔は?」と問われて、淀みなく回答できる準備がマストな件について

コラム

 

自宅だかホテルだかそのような場所で、とある女性と一緒にテレビを観ていたときである。その彼女がテレビで流れているドラマに出ていた中村アンをじっとと見つめながら、「ねえ、中村アンみたいな顔って好きですか?」と、いきなり訊ねてきた。

 

あまりの唐突な質問に面を喰らい20秒ほど悩んだすえ、私は答える。

 

「ん〜〜〜っと……どっちかと言えば好き……なほうかな?」

 

これだけだと説明不足ではないかと「 “好き” と “嫌い” を半々に分けたら “好き” な部類かな?」と、もうちょっとだけの細かいディテールも、つけ足しておいた。

 

「じゃあ、好きな女性タレントの顔は?」

 

次にその彼女はこう聞いてくる。「ぼく、会ったこともなくてどんな性格なのかもよくわからない芸能人には、正直あんまし興味ないんだよねえ…」と前置きしつつ、また今度は1分近くの長考に入る。安室奈美恵は好きだけど好きなのは顔じゃなくてボディバランスだし、稲村亜美は神スイングや100キロ超えの球を放れるのがいいわけだし……。

 

頭をひねりにひねった挙げ句、私は自分でも今ひとつしっくりと来ない人物の名を、たどたどしく羅列する。

 

「ん〜〜〜っと……三船美佳の顔は好きかも……あと、吉高由里子? 最近は二階堂ふみの顔もクセになってきたっていうか……。あ! 辺見えみりを忘れてた。それに倉木麻衣とか……」

 

「大きな眼から塩顔からキツイ顔から古風顔まで……物の見事に統一感がないですね」

 

「結局、ぼくって顔はわりとどうでもいいみたい……」

 

「ふ〜ん……じゃあ、なにが大事なんですか?」

 

「オーラ……とか?」

 

「ふ〜ん……」

 

私の百点満点でいえば20点くらいの、さしたる気づきも喚起しない凡庸なリアクションにうんざりしたのか、「そろそろ帰るわ」と、その彼女は帰り支度を始めている……。

 

……ところで眼が醒めた。夢だった。その彼女が誰だったのかさえ思い出せないが(そもそも知っている女性なのかも曖昧だったりする)、妙な生々さが残っている。二度寝しようとしてもなかなか眠れない。

 

しかたなくしばらくベッドに横たわり、天井の壁にあったラコステのマークに似た染みをぼーっと眺めていたら、まるで天啓が降りたかのごとくハッと閃くものがあった。「しまった! インリンと佐野ひなこを忘れてた!!」と。そう。私は、全身からエロなオーラを発散し、それが隙(スキ)として表情からもにじみ出ているような顔の女性が好きなのだ。

 

「誰だったかも思い出せない夢の中のその彼女」に、こうした “好きの根拠” を理路整然と完璧に解説できていたならば……もしかすると “彼氏” としての対象からは外れてしまったかもしれないが、少なくとも「そろそろ帰るわ」と帰り支度をされてしまうはめには、おそらくならなかったことだろう。

 

つづく(嘘)
 

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