毎年4000件を超える熱中症事故…コロナ禍の部活動を “ブラック” にしないためのポイント

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元日本テレビ解説委員で、現在は多くのメディアでコメンテーターを務める岸田雪子氏が、子育ての身近な悩みや課題を取り上げる新連載「岸田雪子のBloom Room(ブルームルーム)」。親子の笑顔の“つぼみ”を花開かせる小部屋です。今回は、"コロナ禍の部活動" について考えます。

 

7月の最終週。いつもなら夏休みに突入しているはずの平日の夕方。東京都内の整形外科医院に、「足が痛くて歩けない!」と新中1の男の子が、母親と一緒に駆け込んできました。入ったばかりの中学のサッカー部の練習中、ひざに激痛が走って曲げることもできない、とのこと。休校中も家にこもりきりで「運動不足MAX」だった上、サッカーは初心者。いきなりのトレーニングで、身体が悲鳴をあげたようです。

 

 

■部活は教育? 自主的活動? ……曖昧さが “ブラック“ の背景に 

 

 

運動にも暑さにも身体が慣れていないまま突入する、コロナ禍の真夏の部活動。対策は充分なのでしょうか。

 

1つ目のポイントは、そもそも部活動とは何か? です。その定義には、曖昧さも指摘されています。中学校の学習指導要領では、部活動を「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」「学校教育の一環」としています。学校教育ではあるけれど、参加は自主的。ですから、「教育」ではあるけれど、「教科」ではないのです。

 

この「自主性」が、曖昧さを生んでいるようです。万が一、事故が起きてしまった時の責任の所在が不明確なため、例えば生徒の力量を超える練習量や、体罰があったとしても、「生徒が自主的にやった」とか「顧問の個人的判断」などの言い訳をされてしまう場合があるのです。

 

 

■部活動の責任者は「学校長」 コロナ対策は?

 

ただ、こうした言い訳は、本当は通りません。部活動は学校の教育活動である以上、責任者はあくまでも学校長なのです。学校現場での誤解が生じないよう、校長のリーダーシップの必要性を明文化することも必要かもしれません。

 

では、次のポイント、部活動のコロナ対策はどうなっているのでしょうか。文科省の「新型コロナ対策に関するQ&A」には、こう記されています。

 

地域の感染状況に応じて、実施内容や方法を工夫した上で実施してください。

 

明確な基準はなく、「地域ごとに判断を」というのが実情です。ならば、例えば感染が拡大する東京都の方針はどうかというと、「手洗い」「換気」「用具の消毒」「更衣室での “3蜜” を避ける」などのポイントとともに、「部活動の段階的な再開例」が示されています。

 

・ポジション別練習や、パート別練習など、グループでの活動を始めて、ゲームや全体練習など、チームでの活動に広げる
・学校外での活動も可能だが、必ず生徒と保護者の同意書を得ること

 

運動不足の状態から、徐々に身体を慣らすこととともに、学校外での活動は「移動により感染リスク」を重視し、生徒本人と保護者の両方から「書面での同意」を前提としているのです。

 

生徒の「自主的参加」による部活動ですが、学校と保護者が連携して、安全対策を徹底することが求められています。

 

 

■運動部活動中の熱中症事故も多発……死亡例も

 

もう1つのポイント、熱中症対策との両立も大切です。学校での熱中症事故は、毎年4000件~7000件ほど起きていて、減ってはいるものの死亡事故も発生しています。

 

過去の事例でみると、死亡事故が特に多いのが「高校」の「運動部活動中」なのです。競技別では、野球、ラグビー、サッカー、陸上などに多い傾向が見られました(日本スポーツ振興センター調査研究より)。

 

参考までに、過去に死亡事故が起きた野球部の事例をみると、「10キロのランニング」や「100メートルダッシュ25本×2」など、練習中の死亡事故が、特に高校1年生で多かったことも分かっています。身体が慣れていない今年は特に、活動内容を改めて見直して頂ければと思います。

 

心配事ばかり書きましたが、特に最高学年の皆さんにとっては、最後の大会などあるかもしれません。制限がある中でも工夫をこらし、熱中できる経験は宝物になるはずです。どうか最高の舞台を、笑顔で迎えられますように。

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ジャーナリスト・東海大学客員教授

岸田雪子

キャスター・ジャーナリスト。東海大学客員教授。日本発達心理学会員。早稲田大学法学部を卒業、東京大学大学院情報学環教育部修了後、日本テレビ入社。報道局社会部記者、政治部記者として事件・災害・教育・医療・...

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