「プロとしての意地を貫いた人生」55歳でこの世を去ったぽっちゃりタレント 芸人仲間ですら知らなかった病とは
『カレーライスは飲み物』という衝撃的なフレーズで、80年代後半お茶の間を沸かせたぽっちゃりタレントの1人、ウガンダ・トラ。本名、佐藤信一郎。デブのヒーローとして慕われた彼だったが…… 2008年、55歳で突然この世を去る。原因は『2型糖尿病』。実は親しい芸人仲間でさえその病状を知らなかったという。
元々ミュージシャンとしてデビューした彼は、1979年グッチ裕三やモト冬樹らと組んだ"ビジーフォー"のドラムとして活躍。そんな彼を一躍有名にしたのが…… その巨体を使った大食いキャラ! しかも運動神経抜群で、いわゆる動けるデブとしてその地位を確立。
そんな彼に異変が起き始めたのは、30代の後半。実は、この頃から体が無性にだるく疲れが取れなくなっていた。その上、異常なほどのどが渇く…… これらは糖尿病のサインだった。しかし、太っているから…… ウガンダはそう考えていたのだ。当時、ウガンダは食べる仕事も多く、早食い大食いなんでもやっていた。そして、自身の店もオープン。後輩芸人たちと連日連夜の飲み食い生活が続いていた。
だが36歳の時、ついに2型糖尿病と診断された。1か月の入院。食生活の改善や薬による治療を開始するも、退院するとすぐに元の食生活に。これが糖尿病の恐ろしいところ。食べたからといってすぐに体に影響が出るわけではなく、自覚症状を持ちにくいのだ。その上、おデブのカリスマだった彼の元には、常に大食い仲間たちが集まり、放っておかなかった。しかも…… 病気のことを周りに打ち明けていなかったのだ。それは彼が、デブキャラのイメージを守りたいという思いがあったからだった。
■プロとしての意地を貫いた人生
その後、ウガンダは15歳年下の女性と結婚。結婚後はダイエットに励むなどしていたが…… 仲間と食べることはやめられなかった。するとこんな異変が…… 足が黒ずみ、腫れてきたのだ。原因は、高血糖による血流障害と神経障害。足の血管が詰まったり、感覚が鈍り悪化すると足が壊死してしまう合併症の一つ。
そしてついに、突然のめまいが。ウガンダは軽い脳梗塞を起こしていた。この時、ウガンダの腎臓はまだ機能していたが、脳の血管に影響が出始めていたのだ。退院後、入院の影響もあり仕事は減った。これからどうなるのか?そんな不安を妻にまで背負わせたくない。そう思ったのか、この頃から妻とも距離を置くようになる。慢性的な疲れ…… それでも受けた仕事はしっかりやった。それがウガンダのプロとしての意地だった。
だがこの頃から脳機能にも異変が…… 記憶や認知の障害が出始めた。これも糖尿病による合併症の一つ。動脈硬化はもちろん、インスリン不足により脳へエネルギーを取り込めず、神経細胞に影響が出始めていたのだ。それはウガンダの体が限界まで蝕まれている事を示していた。
そして2008年5月。朝起きると体が言うことを聞かなかった…… 必死で携帯をつかみ病院へ。一報を受けたウガンダの弟が駆け付けると、まだ意識はあったが最悪の状態だった。医師によると、この時ウガンダの体は肝臓や心臓にもダメージを受けており予断を許さない状況だったという。そして入院からわずか3週間後、ウガンダは静かにこの世を去った。急性心不全だった。
ウガンダが亡くなると、仲間から兄貴と慕われた彼の命日には、今も多くの芸人仲間が集まり彼を偲んでいる。最後までそのキャラを守り続けたウガンダ…… きっと天国でも周りを明るくしているに違いない。(2019年8月 6日 ON AIR)
ザ!世界仰天ニュース
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