「雨傘はいいのになぜ?」 "登下校中の日傘利用" を禁止する小学校 その理由に保護者からは疑問の声続出

コラム

 

元日本テレビ解説委員で、現在は各メディアでコメンテーターを務める岸田雪子氏が、子育ての身近な悩みや課題を取り上げる新連載「岸田雪子のBloom Room(ブルームルーム)」。親子の笑顔の "つぼみ" を花開かせる小部屋です。今回は、話題のツイートから "登下校の日傘論争" について考えます。

 

厳しい残暑が続いた9月。私が出演させて頂いているTBSの「まるっと!サタデー」でも、「アイカサ」を特集していました。傘レンタルサービスの「アイカサ」は環境省とも連携していて、「熱中症警戒アラート」が実施された日には、無料で日傘をレンタルできるサービスが、各地で8月末から始まっています。


大人の世界では、暑さ対策として当たり前になりつつある「日傘」ですが、もっと弱いはずの子どもたちの登下校では、それが許されないという事態も起きています。

 

先日、こんなツイートが話題になりました。

 

 

日傘を「禁止」、あるいは親御さんの問い合わせに対して「やんわり遠慮してほしいと伝えている」学校もあり、親御さんなどから不満の声が多く寄せられました。

 

「子どもが倒れるの黙って見てろって言うのか」


「雨傘いいのに日傘だめは意味不明」


「日傘が買えない家庭は雨傘を使うようにすればいい」

 

…などなど、ご意見はもっともです。

 

 

■なぜ学校は「いじめ」を理由にするのか?

 

 

特に反感を買っているのは、学校が「いじめが起きる」ことを日傘禁止の理由のひとつにしていることがありそうです。

 

私は20年以上、学校のいじめ問題を取材してきましたが、こうした「家庭によって差が出ると、いじめが起きるからダメ」というルールを決める学校は少なからずあります。そうした学校(学校長)の心理背景には、大きく2つの傾向があると思います。1つは、いじめは、子ども同士の「差」から生まれると勘違いしている。もう1つは、親からの苦情に、過剰に反応する傾向にある。

 

みなさんご存知のように、いじめは「差」から生まれるわけではありません。すべての子どもは違っていて、見た目も性格も家庭環境も、当然、持ち物も異なりますから、「差」をなくすなんて無理な話です。


大切なのは、その「差」を子どもたちにどう伝えていくか。「一人ひとりが違っていて、みんな素敵だね。お互いを大切にしたいね」と伝え続けることが、いじめを防ぐ原点です。そうした日常の積み重ねは簡単ではありませんから、つい「いじめの理由になりそうなものを取り除く」ことに意識がいく先生もいらっしゃいますが、それは、いじめの防止にはならないのです。
 

 

■学校と家庭の “信頼の糸” を結ぶ

 

もう1つの、親からの苦情への過剰反応、防御反応ともいうべき傾向も、残念ながら存在します。実際、保護者からの電話対応が夜遅くまで続き、その後、心身が衰弱してしまった先生もいます。本当なら、学校の先生と親は、「子どもを一緒に育てるチームメイト」のような存在であるはず。その信頼関係は、どうやって結べばよいのでしょうか。

 

先生方にお願いしたいのは、情報共有の徹底です。子どもたちのトラブルなどのネガティブな情報も、すみやかに保護者と共有し、一緒に解決する姿勢を示すことで、保護者との信頼関係は結ばれていくはずです。学校内のルール、校則についても、理由も含めて説明し、意見を取り入れながら見直していくことが必要です。

 

親御さんも、冷静さが大切です。例えば今回のようにルールをめぐって意見が対立した場合、相談相手を変えることも1つの方法です。学校内に信頼できる先生が、1人はいらっしゃるでしょうか? いれば、担任でなくても構いませんので、その先生に相談し、まずは学校内で議論を深めてもらうきっかけを探してみてください。親同士で連携したり、お子さんが中学生以上なら、子どもたち自身が生徒会などを通じて学校に提案することは、学びにもつながるはずです。


各地で、「コミュニティ・スクール」が増えています。これは学校と保護者、地域の皆さんが1つの組織を作り、学校運営に意見を出し、それを反映させる仕組みです。

 

学校は、みんなでつくる子どもの居場所。そんな意識を大人たちが共有していければと思います。

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