お笑い芸人になってドラフトを待つ!? 『ティモンディ』高岸が密かに目論む前代未聞の戦略

コラム

 

阪神タイガースが、今年の野手の最大の目玉である近大・佐藤(輝)を4球団競合で引き当て1位指名の権利を獲得した、我々トラ党にとっては「ほぼ100点満点」な2020年のプロ野球ドラフト会議であったが、一つ残念なことに、今年のドラフトでも私はどの球団からもお声をかけてもらえなかった。

 

今でも私はドラフト(7位あたり)で自分が指名される夢を見る。その夢は時にやけにリアルで、(阪神ではなく)オリックスだとかロッテだとかの渋い球団の代表が私の名前を読み上げたところで、いつもハッと目が覚める。そう。それなりに野球に打ち込んだ経験がある者たちにとって、「ドラフトにかかる」という夢物語は、非現実的ではあっても、断じて冗談ではないのだ。

 

こうした荒唐無稽な絵空事に、私みたいな40歳から野球を始めた、最高球速90キロ弱しか出せない満58歳の草野球人より10歩も100歩も近いところに立つ人物がいる。お笑いコンビ『ティモンディ』のボケ役を担当する高岸宏行(28)である。その高岸が、今年のドラフト会議が開催された当日の10月26日、ラジオ番組『ナイツ・ザ・ラジオショー』(ニッポン放送)にゲスト出演し、ドラフトへの想いをあの暑苦しい口調で、以下のように語っていた。

 

「今年は調査書が(自分に)届かなかった。調査書が届いた人だけが(志望)届を出せるんです。(高校のときは)届いてたんです。チームの監督さんとか学校長に届いているんです、意思はありますかって」(※ゴメス註:私のもとにも、その「調査書」とやらは届かなかった)

 

「もちろん、12球団どこでも、手を挙げていただければ。独立リーグでもどこでも」

 

「(逆指名について問われ)逆指名か、わー! 本当に野球が好きで、全球団のファンなんで。(自身がトレードマークにしている)オレンジはジャイアンツカラーではありますけど」


まず、大前提としてプロ野球選手には、ドラフト会議で指名されなければなることができない。そして、ドラフト会議で指名されるには高校野球や大学野球、社会人野球……あるいは、独立リーグや入団テスト(※一般公募。現在は巨人の広島が実施。ただし、合格してもドラフト指名を受けねばならない)で目立った活躍をして、スカウトの目に止まる必要がある。

 

とは言え、いくら野球人口が減りつつある昨今ではあっても、まだまだ日本では1、2位を争う人気スポーツで「目立った活躍をする」のは、並大抵のことじゃない。当然のこと「プロ野球選手になりたいのに、そのまま埋もれてしまう逸材」も、星の数ほど実在するのだろう。

 

そんななか、まったく別のアプローチから(少なくとも)「目立つ」という意味では成功を果たしつつあるのが、この高岸──強豪校・済美高(愛媛県)の野球部出身で、今でも150キロ近くの球を投げることができるという圧倒的な実力を武器にお笑い芸人に。となれば、野球がらみの仕事も増え、テレビをはじめとするあらゆるメディアが彼の資質をこぞって宣伝してくれる。ヤクルト×広島戦(10月4日)の始球式での投球も、そりゃあ見事なもんでしたから……。

 

もちろん、お笑い芸人を掛け持ちながら本気で目指せるほど、プロの世界が甘くないことくらいはわかっている。「34歳のオールドルーキー誕生か!?」と注目を浴びていた元メジャーリーガーの田沢投手も結局は指名されなかったし、48歳で今年のトライアウトに挑戦する予定である新庄(剛志)氏も実際に獲るチームがあるかどうかは正直怪しかったりする。

 

だが、「僕はプロ野球選手になりたいんだ!」というアピールの術を、これまでにない斬新かつ前代未聞なかたちで示してくれた高岸は、たとえプロ入りは無理だったとしても、それだけで「今でもドラフトにかかる夢を見てしまう」私みたいな野球人らには、十分な希望を与えてくれたのではなかろうか?

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