「キメハラ(鬼滅の刃ハラスメント)」は民事上の不法行為として訴えることができるのか?

コラム

 

親愛なるcitrus読者の皆さまは「キメハラ」なるワードが昨今、ちまたで横行しつつあることをご存知だろうか?

 

「キメハラ」とは、週刊少年ジャンプで2016年の11号から2020年の24号まで連載され、劇場版アニメも大盛況だというメガヒット漫画『鬼滅の刃』に、「ハラスメント」をプラスしたものを略した造語である。

 

いったい、どういうたぐいのハラスメントなの……? いくつかの例を挙げれば、

 

・「鬼滅まだ見てないの?」「見ようよ」と押しつけてくる

 

・「鬼滅がダメな人っているんだ」と好みを否定する

 

・「鬼滅がつまらない、興味ない」と他人に言えない雰囲気をつくる

 

……みたいな行為がソレに該当する……らしい。

 

はたして、そんなことが本当に社会問題となっているのか? 仮に本当だとしても、こんなことでヒトはそこまでのダメージを受けてしまうものなのか? 集団に属さず、基本は独りで原稿をしこしこと執筆するスタイルのフリーランサーである私からすると、にわか信じがたい話だけど、朝の情報番組『グッとラック!』(TBS系)でも特集を組んでいたくらいだから、ある所ではあるんだろう。「全国放送の地上波が特集してしまったがゆえ、現象化にまで到った」という見方も否定はできないが……?

 

では、この「キメハラ」を、たとえば職場で受けたとして、その差別を民事上の不法行為とし、慰謝料などの損害賠償を請求できるのか? 国内最大級の弁護士検索サイト『弁護士ドットコム』による回答の一部を抜粋すると、以下のとおりであった。
 

(前出の言動は)侮辱とか暴言というほどでもないですし、「鬼滅」を見ていない・好きではない人を仲間外しにするような行為ではありません。

 

「(万一)劇場版を見ていないという理由だけで、話に入れてもらえなかった」としても、劇場版に関する会話に見ていない人が加われないのは、ある意味でやむをえないことであり、その後も無視されたとかでいうのでなければ、「仲間外し」とは言い難いです。

 

(中略)いずれにせよ、他人のいろいろな言動で不快感を抱くことは少なからずあることで、なんでも不法行為になるわけではありません。「個人の好みを否定する行為」は不快かもしれませんが、感じ方はそれぞれで、その人の感想だと受け止めれば済むことです。


じつにまっとうな見解である。先にも“素朴な疑問”として申したが、そんな程度のことで本当にいちいち精神的なダメージを受けていたら……そして、そのごとに「ハラハラハラハラ」とケチをつけられたら……マジ、な〜んもしゃべれなくなっちゃいますよ。ならば、草野球の試合でサインを見逃してしまったときや、致命的なエラーをしてしまったとき、味方チームの監督やピッチャーから「何年野球やってんだ!」だとか「このデクの坊が!」だとかと詰られたりしたら、これも立派な「草野球ハラスメント=クサハラ」に該当するのではないか? うん!「クサハラ」って、なかなか悪くないネーミングだなぁ……なんてことを考えていたら、もしかすると「○○ハラ」の「○○」の部分が「ハラ」と音感的に相性がいいものが、結局はハラスメントとして広く認知されているだけなのでは……という推論へと到った。だって、一昔前に『ONE PIECE』が『鬼滅の刃』と似たような感じで流行ったときは、「ワンハラ」なんて言葉、あんまし聞いたことなかったですしね。理由は単純、「キメハラ」と比べて「ワンハラ」は語呂が悪いから?

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