『ソリオ』『トヨタイムズ』『からだ巡茶 モイスティア』…年末、気になって気になってしかたないCM3選

コラム

 

コロナ自粛を余儀なくされながらも、それなりに慌ただしい師走の昨今──ふと空いた時間にテレビを眺めていると、やたら私の目……あるいは耳に残るCMが3つほどある。

 
一つめはスズキ自動車の『SOLIO(ソリオ)5』のテレビCM。女優の橋本環奈(21)と俳優の吉沢亮(26)と二人の子役、それに同CMの振り付けを担当しているタレント兼振付師のパパイヤ鈴木(54)の5人が登場し、「ソ・ソ・ソリオ・ソ・ソ・ソリオ…♪」という商品連呼型の歌をバックに小気味のいいダンスを披露している……と、まあこうして文章に起こせば、いかにもありがちな、いわゆる王道スタイルの“作品”ではある。が、注目すべき……っていうか、注目したくなくてもつい凝視してしまうのが、最初の「ソ・ソ・ソリオ…♪」の「オ」の部分である。

 
「ソ・ソ」でソリオの「S」の字を両手で2回つくり、「ソリ」でクルマを両手で指差し、「オ」でヒザがぴょんと曲がるのだ(※15秒バージョンは最初の一回だけ。30秒バージョンだと後半にもう一回視聴できる)。ホント一瞬芸なので、ぼーっとしてたらすぐ見逃してしまうのだけれど、コレがとにかくかわいらしい! とくに向かって右から3番めにいる橋本環奈の真っ直ぐに伸びた脚がガニ股っぽくクニッとなるのがたまらない。さすが「振り付け界のイチロー」「ダンス界のキングカズ」の名をいまだほしいままとする(※私が勝手にそう呼んでいるだけだがw)パパイヤ鈴木! 「王道」のセオリーを遵守しつつも、いちいち小技が効いている。あと、画面映えする鮮やかな水色をメインとした縦縞の衣装も、この「ヒザぴょん」をよりいっそう際立たせている。有能なスタイリストによる、じつにさり気なく素晴らしい仕事……ではないか?

 
二つめは……(たしか)トヨタ自動車のオウンドメディア『トヨタイムズ』のテレビCM。太めの黒縁メガネをかけた、まるで道頓堀のくいだおれ人形みたいな風貌のおじさんが、英語でどこだかのステージ上に立ってスピーチを行なっている。このやたらキャラの立った“おじさん”は言わずもがな、トヨタ自動車の社長・豊田章男氏である。そして、やはり注目すべき……っていうか、注目したくなくてもつい凝視してしまうのが、豊田社長の左脚! 両手を広げて熱弁中、重心は右脚に、左脚はピンと伸びて、踵を地につけてつま先が鋭角状に上を向いている。いったいどこでこんなスタンディングポーズを覚えたんだろう? 明らかにシロウトのソレではない、絶妙に映えるポージングではないか? おそらく、豊田社長は(英語で)ものすごくいいことを語っているに違いない……のだけれど、そのあまりにも漫画チックなシルエットに視覚を奪われすぎてスピーチの内容が全然頭に入ってこないのは、はたして私だけであろうか?

 
で、三つめは、コカ・コーラシステムが新発売した『からだ巡茶 モイスティア』のテレビCM(冬の乾燥編)で、出演は女優の綾瀬はるか(35)。マスクをした綾瀬が、真っ赤に紅葉しきったモミジが舞い散る寒々とした公園らしき場所を歩き、マスクを取って商品のお茶を飲む……といった、正直なところ絵的にはさしたるインパクトのない“作品”でしかないのだけれど、ここで妙に私の脳内を掻き乱すのが、バックに流れているインストゥルメンタルのBGMである。

 
ジャンル分けしたくてもできない奇天烈な譜面構成──あえて例えるなら「チンドン屋みたい」な音楽?「ドンチャチャ・ン・ドチャ♪」と鈍重なドラムのビートに乗って、フリージャズよろしくのピアノの音色が暴れ回り、その上からさらに「パーッパパー♪」と間抜けなホーンのフレーズがかぶってくる……音量は小さめゆえ、CM自体にそこまでの違和感は与えていないものの、よくよく聴いてみたら相当に前衛性の高い、シュールな小曲……だと思う。 ビジュアル展開が正統派なぶん、聴覚をサブリミナル的に刺激する……的な戦略なんだろうか? 

 
いずれにせよ、通常だと看過されがちな細かい……もっと言うならどーだっていい分析……いや、茶々入れであった。恐縮ですっm(__)m

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