30万種もの中から決定した「日本一かわいい名字ランキング」の上位結果を振り返り、あらためて考えてみる「自分が“なりたい”名字」について
昨日入稿したコラムに引き続き、またランキングネタである。日本最大級とされるランキングサイトの『gooランキング』が、500名の回答者を対象とした「日本一かわいい! 名字ランキング」なるタイトルの記事を配信していた。
一説によると、日本には30万種もの名字が存在するらしく、そんななかから、実数としての「多い(順)」ならまだしも、「かわいい」といった主観的なテーマを持ち出したところで、はたしてランキングそのものが成立するのだろうか、「1位でも3票」みたいなことにはならないのだろうか……といった疑念がよぎりはしたものの、意外にも1位は「62票」、50位ですら「21票」もの支持を集め、ランキングとしてそれなりの体(てい)を成していたことに、まず驚いた。とりあえずの「ベスト3」は以下のとおり。
1位:桜(全国に850人程度存在する名字。主に岩手県・東京都を中心に確認できる)
2位:葵(全国に210人程度存在する名字。主に東京都を中心に確認できる)
3位:七海(全国に3000人程度存在する名字。主に福島県を中心に確認できる)
さらに、4位以降は、
4位:若菜
5位:雫
6位:白雪
7位:綾瀬
8位:初音
9位:姫野
9位:胡桃
9位:涼風
……と続いていく。「ベスト9」内の名字を持つ身近な友人知人は、私には一人もいない。“著名人”として私が一方的に知っているのも「若菜(嘉晴。元プロ野球選手)」「綾瀬(はるか。女優)」「姫野(達也。ロックバンド『チューリップ』メンバー)」の3人だけ。架空の人物も“アリ”ならば「初音(ミク)」も? あと、「葵」「七海」「涼風」あたりはキャバクラ嬢やフーゾク嬢の源氏名としてよく耳にする。つまり、どれもリアリティーの面で、あまりピンとこない。とくに「若菜」は、阪神タイガースでキャッチャーをやっていたころの、あのいかつい顔が真っ先に頭に浮かんでしまうので、全然かわいくない。
「かわいい」だとか「かっこいい」だとか……と我々が認識する名字とは、とどのつまりが背番号みたいなものなのではないか? たとえば、「51」という、本来なら印象の薄い微妙な数字であるはずの背番号が、イチローが背負ったことによってレジェンドな(特別な)背番号へと成り代わっていったように。そして当たり前の話、野球にまったく関心のない人たちからすると、「51」は相変わらず「薄い印象」のまま(のはず)で、その“入れ込みよう”の度合は、個人の置かれた環境や趣味嗜好によって、大きな差異が生じてくる。
ちなみに、私が一番「かっこいい」「なりたい」と常に思っているのは「三宅」である。日常的に着こなすのはなかなか難儀だけれど「イッセイ・ミヤケ」の洋服は大好きだし、V6の「三宅健」も“男”としてはもっとも美しい造形をした顔の持ち主と私が考える一人だったりする。しかも、私が所属する草野球チームのチームメイトである「三宅さん」は50歳をすぎても端正で引き締まった容姿をキープしつつも直毛のロマンスグレーが素敵な、加齢を理想的なかたちで受け入れたナイスミドル──もう一度言おう。「かわいい」「かっこいい」の定義づけとは、極めて個人的な作業なのだ。