数ある「敗北エンド」名作漫画のなかでも、主人公が "完全敗北" を喫してしまった名作中の名作とは!?(※ネタバレあり)

コラム

 

親愛なる読者の皆さまは「敗北エンド」なる言葉をご存知だろうか?「敗北エンド」とは、読んで字のごとく、

 

「主人公が悲しくも敗北してTHE ENDとなってしまう小説・漫画・映画・ドラマなどの物語」

 

……を指す。そして、とくに少年漫画では、壮絶な戦いの末に主人公が勝利を収める結末が大半を占めるなか、「マンガ・アニメ・ゲームに関するさまざまな話題を、わかりやすくお届けすること」をコンセプトとするネットメディア『マグミクス』が、「敗北エンド」の代表的な漫画として『DEATH NOTE(デス・ノート)』と『ジョジョの奇妙な冒険 PART6 ストーンオーシャン』と『SLAM DUNK(スラム・ダンク)』の3作を挙げていた。

 

たしかに、どれも漫画史に長く残る名作ではある。しかし、『DEATH NOTE』では、主人公の夜神月(らいと)が世界一の名探偵「L」の直系である「N(ニア)」に最後は敗北を喫してしまいはするものの、「大量殺人をも厭わず、急進的に理想社会を目指す」という "悪" を否定する "正義" が勝利するかたちとなっている。

 

『ジョジョの奇妙な冒険 PART6 ストーンオーシャン』も、主人公である空条承太郎とその娘・空条徐倫がラスボス的存在のプッチ神父に敗北するが、主人公(一族)の遺志を託されたエンポリオがプッチ神父を倒している。

 

『SLAM DUNK』に関しては、主人公(チーム)の湘北高校がインターハイ2回戦で絶対王者の山王工業高校との死闘に全力を尽くし辛勝を果たしたクライマックスのあと、続く3回戦で対戦した愛知学院高校にはボロ負けしてしまったが、3回戦の経緯はナレーションのみであった……。つまり、見方によれば3作とも "完敗" しているわけではなく、少々穿った解釈をすると、パーフェクトな「敗北エンド」ではない……とも言えるのではないか?

 

私は、過去の名作漫画から「真の敗北エンド」作品をあえて一つを選ぶなら……ぜひとも『デビルマン』(作画:永井豪)を推したい。

 

他の生物との合体能力を持った地球の先住人類「デーモン(悪魔)」が200万年の眠りから目覚めて、人類から地球を奪い返そうと攻撃を開始する。それに対抗するためデーモンとあえて合体し、悪魔の体と人間の心を併せ持つデビルマンとなった主人公の不動明は最終決戦(アーマゲドン)で、大魔神サタン率いるデーモン軍団に "敗北" し、静かに息を引き取る……。

 

漫画版の『デビルマン』が少年マガジンに連載されていたのは1972〜1973年──そのころ私はまだ小学校4〜5年生で、幼心に「人間がなすすべもなく異生物に完敗してしまう」という残酷なバッド・エンドに(※あと、主人公である変身ヒーローに牙と尻尾があるというグロテスクさにも。ちなみにアニメ版のデビルマンには牙と尻尾はなかった)底知れぬ恐怖をおぼえ、まもなく還暦を迎える私の心に今でも強烈な爪痕を残している。さらに付け加えるなら、少なくとも少年漫画にかぎっては、いまだ『デビルマン』を超える「完敗エンド」の名作を、私は思いつくことができない……。

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