ラーメン屋に飾ってある有名人のサイン色紙に、どこか“店側のあざとさ”を感じてしまう件について
『スポニチAnnex』によると、元大阪市長で弁護士の橋下徹氏(51)が、5月15日にABEMAから配信された『NewsBAR橋下』で、飲食店での“塩対応”を息子に叱られたと明かした……らしい。
「応じたり応じていなかったりすると、SNSの時代に、あそこでは応じていたじゃないか…ってことになる」という理由で、街で写真撮影やサインを求められた際は「近ごろはすべて断るようにしている」という橋下氏──一度、あるラーメン屋さんに奥さんと一緒に行って、店の人からサインを求められたときも、「申し訳ないけど…」と断った……とのこと。すると、その店の常連である橋下氏の息子さんから「サインくらいいいやんか! これから行きにくくなるやんか!」と叱られた……のだそう。
もちろん、橋下氏が「求められたサインや写真撮影」に対してどのようなポリシーを貫いているのか……みたいなことは、私にとってはどうだってかまわない。「可能なかぎり、時間が許すかぎり、真摯に応じる」のもそれはそれで立派な“人格者”たる対応だと思うし、「不公平を避けるためにすべてお断りする」のも、ちゃんと理にかなった物の考え方だと思う。
ただいっぽうで、壁一面に「これでもか!」と言わんばかりに著名人のサイン色紙がずらりと並び飾られているラーメン屋などの飲食店に入ってしまったら……私個人としては正直、げんなりとしてしまう。
まず第一に「店内の美観的な面」でいただけない。センスってヤツが感じられない。だが、それ以前に「そこそこ有名だったら誰でもいいのか!?」と、ついツッコミたくなってしまう。昔、こんなことがあった。
都内にある、やはり「著名人のサイン色紙が壁一面に並んでいる某ラーメン屋」に、とある(かなり)著名なアーティストと一緒に入ったときの話──我々がラーメンを食べ終えてから、店主が私の連れに「あのぉ…○○の××さんですよね。すごくファンなので、サインお願いしていいですか?」と尋ねてきた。この時点では私も「なるほど、こういうお店(=著名人のサイン色紙が壁一面に並んでいる飲食店)のヒトはこういうタイミングと切り出し方で著名人にサインを求めるのか…」くらいの“発見”があった程度であった。連れもこの手の“お願い”にはすっかり慣れきっているようで、「ハイハイ」と、店主から手渡された色紙に黒の油性マジックを走らせている……。ところが! その連れがサインの執筆中、私のほうを指差して「このヒトも『○○』(※←当時レギュラー出演していた某バラエティ番組の名前)に出てる有名人よ」なんてことを言い出したもんだから、その店主は「え! そーなんですか!?」と、いきなりもう一枚のサイン色紙を持ち出し、黒マジックを添えて「サインお願いしていいですか?」と、私に突き出してくる。
「ボクのサインなんて飾ったって、誰も知らないですよ」と、けっこう強く固辞したのだが、結局は“ついで”に書かされてしまった。そして、そのサインはおそらく今でも、そのラーメン屋で百枚以上の著名人のサイン色紙に埋もれながら、ひっそりと飾られている……はずだ。
百歩譲って、本当に大ファンである著名人がたまたま自分のお店に来て、サインをねだり手に入れた“お宝的な一枚”を、うれしさあまって店内に貼って自慢する心情は理解できなくもない。が、私のような「名前も聞いたことない得体の知れないヒト」のサイン色紙を“内装”の一環として“コレクション”の一枚に加えたとしても……なにがいったいうれしいんでしょうかね??? もしかすると、ずらりと並ぶ、ほぼ可読性ゼロのサイン色紙のなかには、私レベルに「得体の知れないヒト」のソレが少なからず紛れ込んでいるのかもしれない……。
そもそも「相手が有名であろうが無名であろうが、同じ態度で接客して、平等に美味しいモノを提供すること」こそが、飲食店における本来の正しい姿勢だと、私は一言申したいのだが……いかがだろう?