「ギャップを過大に重宝されがちなギャル」という風潮に見る、世間が“ギャル”に抱く一方的な先入観

コラム

 

 
「恋愛の参考書」とのスローガンを掲げるネットメディア『スゴレン』が、『ギャルのギャップにときめく瞬間9パターン』なるタイトルの記事を配信していた。「9つもあるのか!?」と、まず驚いたが、とりあえずはそのズラリ羅列された「パターン」ってヤツをすべて紹介しておこう。

 
(1)   すっぴんの姿を見たとき
(2)   チラ見えした下着が白だったとき
(3)   親に帰宅時間を連絡しているとき
(4)   手料理がおいしかったとき
(5)   言葉づかいが丁寧だったとき
(6)   恥ずかしそうな素振りを見せたとき
(7)   ヲタク系の趣味を持っていたとき
(8)   お年寄りに親切だったとき
(9)   仕事や勉強に一生懸命なとき

 

この「9パターン」は『スゴレン』読者の男性を対象に行なったアンケートをもとに抽出されたものらしいが、捉えようによっては(ギャルにとって)ずいぶん失礼な調査結果ではないか。

 
「一体ちまたの男子たちはギャルに対して普段、どんなにスレた印象を持っているのかね」

 
……と、ついツッコミたくなってしまう。

 
「ギャルは、黒や原色系の下着を好み、親に連絡一本もよこさず無断外泊も当たり前で、料理は一切せず、乱暴な言葉を使い、羞恥心のカケラもなく、一つの物事に執心する持久力に欠けており、目の前にお年寄りがいても優先座席に座ったままで、仕事も勉強も大嫌い」

 
……みたいな感じか? ちなみに、(1)の「すっぴんの姿を見たとき」の理由には、「ギャルはメイクをとると顔も性格も別人のようになるから、恋人がふたりいるような気分になる」「ギャルのすっぴんを見るのは、ハダカを見る行為に等しいレア感がある」なんてことが書かれていた。そこまで完全武装? 「美魔女」を自称するオネエさま方々だって、けっこう日夜盛りまくってますけど……? まったくもって、ひどい言い草である。

 
しかしながら、『egg』をはじめとするさまざまなメディアを通じて、それなりに長い歴史をかけてつくり上げられてきた「社会一般の人たちがギャルに抱くネガティブな先入観」が、皮肉にも彼女らにとっては追い風になっている側面は、やはり否めない。

 
「学校中の嫌われ者である一匹狼的な不良男子が雨の中、傘もささずビショ濡れになりながら、段ボール箱に放置された捨て犬(もしくは猫)を『よしよし…かわいそうになぁ』と抱き上げているシーンを電柱の陰から覗き見して、思わずキュンとしてしまうクラスメートの女子」

 

……という「少女漫画の鉄板エピソード」と同じロジックによって、たとえば肉じゃがをそこそこ美味しく料理できただけでも、ギャルの評価は非ギャルの何倍もアップするのだ。かくなる私も、まだギャルの黎明期であった30年近くも前、「某有名美大に在籍していたギャル」なるギャップに俄然萌えてしまった記憶がある。

 
こうした「ギャルへの、もはや根拠が薄い誹謗中傷」をイマドキのギャルタレントは「それって偏見ですよ!」と声を荒げつつも、どこかその“ギャップ”を俯瞰的な位置から楽しんでいる風にも私には見える。そう! ギャルは我々が考えている以上にしたたかで、合理的な発想を得意とするイキモノなのかもしれない。

 

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