『マクロスF』新作公開記念 シェリルよりランカ派という人が読むべきシェリル・ノーム考察
2021年10月、アニメ『マクロス』シリーズの完全新作である『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE !!!!!!』が公開され、その同時上映作品として『劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜』)も公開された。長きに渡り愛される作品『マクロスF』に登場する歌姫、“銀河の妖精” シェリル・ノームの魅力を考察していこう。
■圧倒的な歌唱力
彼女を語るうえで欠かせないのが“圧倒的な歌唱力”である。
ギャラクシー・ネットワークを通し名を馳せ、ユニバーサルボードでは常に上位にランクインするなど、不動の人気を有するシェリル。さまざまなタイプの楽曲があり、アップテンポなものからバラードまで完璧に歌いあげる実力派だ。
なかでもポピュラーな曲といえば「射手座☆午後九時Don't be late」。サビの「持ってけ」というフレーズは特徴的で耳に残りやすく、2008年放送のテレビシリーズ1話と同様に、2009年公開の映画『虚空歌姫 〜イツワリノウタヒメ〜』でも披露されていた人気の楽曲である。
そんな彼女、大事な星道館ライブの直前にマネージャーであるグレイス・オコナーに対し、「私はシェリルよ。シェリル・ノームは、いつでも、どんな時でも、全力で歌うだけ」と発言していた。この言葉から、実力だけではなく彼女の歌に対する熱い想いも感じられるだろう。
■命を懸けたプロ意識
『虚空歌姫 〜イツワリノウタヒメ〜』ではシェリルがギャラクシー船団の陰謀に肩入れしたスパイとして逮捕されてしまう。グラス大統領に裁判なしでの死刑宣告をされ、タイトルの通り“イツワリノウタヒメ”として報道され、銀河中に衝撃が走ることに……。
実は完治の見込みがないV型感染症を患い、もともと衰弱していたシェリルだったが、投獄されたあとも彼女は歌手である誇りを捨てていなかった。スプーンで牢屋の壁に歌詞を書き連ねているシーンでは、彼女の実直な想い、そして高いプロ意識がひしひしと伝わってくる。
主人公・アルトやもう一人のヒロイン・ランカの助けで看守をすり抜けたシェリルは、己の身を案じるアルトに対し、「もしも死ぬなら舞台の上よ!」と堂々と宣言。歌い続ければ身が持たないことを自覚しながらも、シンガーであり続けるというプロ意識を見せた彼女に脱帽だ。
■実はキュートな内面
シェリルの魅力は歌唱力やプロ意識だけではない。“銀河の妖精”という愛称があるが、その内面を一言で表すのならば“妖精”というより“小悪魔”。勝ち気なお嬢様気質の持ち主なのだ。
『虚空歌姫 〜イツワリノウタヒメ〜』にて、テレビ局でファーストコンタクトとなったシェリルとランカ。ライブでボディーガードを務めたアルトのことを「アルトはあたしのド・レ・イ」と紹介し、うぶなランカに誤解を与えたこともあった。
しかしキュートな一面もある。同作内でアルトが怪我で病床に伏したときには、ベッドの側らでリンゴを剥こうと奮闘するが、慣れない作業に悪戦苦闘。手を切ってしまいながらも「あたしがこんなことするの滅多にないんだから。素直にありがたがりなさいよ」とツンデレ全開で強がって顔を赤くし、かわいらしさを見せていたのだ。