新庄「ビッグ・ボス」が日ハム監督就任会見でド派手にブチあげた地味な“隠れ名言”のいくつかを、あらためて吟味する!

コラム

 

元プロ野球選手の新庄剛志氏(49)が11月4日、『北海道日本ハムファイターズ』の新監督就任を報告する会見を、札幌市内で開いた。

 
会見開始は午後2時。こんな昼下がりの時間帯にもかかわらず、一プロ野球球団の監督就任会見を地上波民放ほぼ全局のワイドショーが生中継していた。少なくとも21世紀になってからは先代未聞のケースなのではなかろうか。もはや「野球」という枠を超えた、「社会現象」レベルのすさまじい注目度だ。

 
「僕ね、普通に会話していることが名言になっちゃうので」

 
……と会見中、新庄氏が豪語していたとおり、

 
「『監督』って皆さん言わないでください。『ビッグ・ボス』でお願いします」

 

「優勝なんか一切目指しません」

 

「(就任要請を受け)1秒でお願いします、やります…と」


「夢はでっかく、根は太く」

 

「ますは僕が(背番号)1番つけまーす」

 
……ほか、“名言”が続々と誕生する、その有言実行ぶりはまさに健在で、おそらく「ビッグ・ボス」なんかは今年の新語・流行語大賞のノミネート30語に付け加えることが可能ならば、最低でもベスト10入りは果たすに違いない。

 
もちろん、私もこの日、午後2時からのリモートミーティングの予定を午後4時にズラしてもらい、同会見をライブでチェックさせていただいたクチではあるのだけれど、前出の奇天烈かつキャッチーなコメントの影に隠れ、地味に「まともな」……っていうか、新庄氏の思慮深さ、さらには人への気配りやリスペクトを怠らない温かい人柄がかいま見られる、ゴメス的に大きな感銘を受けた発言もいくつかあった。たとえば、

 
「今の時代ってSNSというのはすごく大事なものだと思うんですよ。だから、できたら試合中にインスタライブとかさせてもらったら最高かな…と」

 
……というくだり。現実問題、「試合中のインスタライブ配信」にはいろんな障害もあるだろう。が、スポーツ界、とくに古い慣習にいまだガチガチに縛られがちな日本のプロ野球がSNSの発信力を十分に活かしきれていないのも、また歴然たる事実である。新庄ビッグ・ボスにはそこらへんの旧態依然とした球界の体質に、ぜひとも風穴を開けてもらいたい。

 
「ビッグ・ボスとして(チームの)なにを変えていくのか?」という質問に対する

 
「まずは(選手の)顔を変えていこうか、と」

 
……という回答も、一見ではみずからの美容整形をネタにしたジョーク風ではあるものの、よくよく噛み砕いてみれば、なかなかに滋味溢れる、示唆的な発言……だと私は思う。全国に名前と背番号を覚えてもらえるだけの活躍をすれば、その選手はおのずとオーラを帯び、顔つきも変わってきて、ひいてはそのタレント性が球団人気にもつながっていく──つまり「ファンに見られることの重要さ」を、ビッグ・ボスはフランクなリップサービスという格好で説いているのではなかろうか。

 
「朝起きて、パン食べて、コーヒー飲んでから新球場(=2023年3月に開業する『エスコンフィールドHOKKAIDO』)へ行った。車で新球場に着いたとき、僕は鳥肌が立って。ここでプレーできる選手はうらやましいなって。今までアメリカのいろんな球場を見てきたけど、これは世界で話題になる球場になる」

 
これを聞いて、私も来年は絶対に一度は行ってみたい……と、心底から感じた。宣伝効果抜群なだけではなく、新球場の着手に携わっている人たちへの賞賛をも忘れない、いい意味で“したたか”な、素晴らしい“プレゼンテーション”である。

 
「(かつて阪神時代にお世話になった)野村(克也)監督や、僕が(プロに)入ったときの中村勝弘監督とか、いろんな監督のいい部分は取り入れながら。でも、やっぱり僕の個性というかアイデアを優先して…」

 
……と、幾多の“恩人”たちへの感謝の気持ちも忘れず、会見中その“実名”を随所に散りばめていたあたりが、新庄剛志が万人に愛される理由の一つであろう。そして、その“愛されキャラ”を決定的に裏付けるのが、以下のコメントであった。

 
「やはり人間性というものは大事であって、人の悪口を言わない、『いただきます』『ありがとうございました』を言える選手を育てていきたい」

 
これぞ野村イズム! 下手すれば“キレイ事”としか捉えられかねない「人としての基本の基」的な使い古された言葉も、このヒトの口から聞けば不思議と説得力を帯びてくる。

 
熱狂的な阪神ファンである私ですら、ついつい“浮気”してしまいたくなるくらいに、来シーズンが待ち遠しくてたまらない!

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