前々から薄々と抱いていた『ジョブチューン』の「〜の人気商品を一流料理人がジャッジ!」シリーズへの“不快感”は、なにも私にかぎった話ではなかったのか…とチョッピリ安心してしまった件について
TBS系のとある番組が、公式ツイッターを1月5日に更新し、
「この度の番組出演者、番組とは無関係のお店に対してのSNSをはじめとする誹謗・中傷、迷惑行為はお止め頂きたくお願い申し上げます」
……との注意を喚起したという。「とある番組」とは、元旦に放送された『ジョブチューン〜アノ職業のヒミツぶっちゃけます!★セブン・ファミマ・ローソンの人気商品を一流料理人がジャッジ!』のことで、どういう経緯でこうしたなかなかに異例なツイートを公
大手コンビニ3社の商品開発担当者が出演し、従業員が選んだ一押し商品の1社8品、計24品を有名料理人が試食して「合格」「不合格」を決める企画内で、審査員の一人がおにぎりの試食を「食べてみたいという気になれないビジュアル」との理由で拒否し、判定しようとした→この振る舞いが物議を醸して大炎上→同審査員の店だけではなく、同姓他者のシェフまでが“勘違い”で誹謗中傷を受けることに…
……みたいな感じである。ヤフコメ欄あたりに批判の言を投稿するならまだしも、お店に抗議or無言の電話
「審査員である“一流シェフ”が『食べる気にならないから』と低評価を下すなら、そのシェフが経営する店に行ったことがないヒトでも『行く気にならないから』と悪口を書き込む権利を有することができる」
……といった“荒らす側”の屁理屈を皮肉にも成立させてしまったのも、また事実である。
ここで炎上の火元となっている「審査員(=一流シェフ)」の是非を問うのは、もうやめておく。ただ、ネット上の炎上風景を俯瞰から眺めていると、
「そもそも番組の企画自体が問題なのでは?」
……という論調のコメントが意外と多くて、正直私はチョッピリ安心した。なぜ「安心した」のかと言えば、私はすでに約半年前となった昨年の7月、この「◯◯◯の人気商品を一流料理人がジャッジ!」シリーズに対し、不快感の意を表していたからだ。ああ、なんかモヤモヤしてたのはボクだけじゃなかったのね……と。その「不快な理由」を本コラム内から一部抜粋してみよう。
まず、「一流料理人=格上/チェーン系飲食店の料理人=格下」と上下的に括ったヒエラルキーの構図にものすごく違和感を感じる。そりゃあ、こうした“序列の明確さ”が番組を盛り上げるためには欠かせない、「もっともわかりやすい演出」であることくらいは理解できなくもない。上から目線で「一流料理人」がチャレンジャーとして登場する料理人たちの“渾身の一品”を、苦虫を噛み潰したような表情で勿体ぶりながら試食し、ときには容赦ない辛口の批評をつらつらと述べる──むしろ、このような“憎まれ役”をメリハリをもって演じることができる「一流料理人」のほうが、番組的には「キャラが立っている」ということで、重宝されるのだろう。
(中略)「一流」とされる料理人とチェーン系飲食店の料理人とでは、そもそも目指す“ゴール”の質が異なっている……と、私は思う。誤解を恐れずに言ってしまえば、前者は「求道的な美味しさ」を目指し、後者は「リーズナブルかつ最大公約数的な美味しさ」を目指す──つまり、スポーツに例えると、同じ「料理人=アスリート」ではあっても、まったく違ったフィールドで日々の鍛錬に全力を費やす「プロ野球選手」と「プロサッカー選手」のようなものであり、「メジャーリーガー」と「高校球児」といった比較はそぐわない……二者のあいだに優劣は存在しないのだ。
したがって、チャレンジャー側の料理を「合格」「不合格」の形容で評価するのも、私としては一抹の疑問がよぎってならない。「好き・嫌い」「合う・合わない」とかじゃダメなのか? こんなにも理不尽なルールに縛られた“異種格闘戦”にエントリーするなら、チャレンジャー側も、もっと椅子にでもふんぞり返って鷹揚に、その“エキシビジョン・マッチ”の経過を見守ってもかまわないのではなかろうか。
もし、ジョブチューンの目玉的な人気コーナーゆえ、今回の炎上程度じゃやめられない……のなら、公平を期すという意味(?)で、一度
「コンビニ商品の開発者やチェーン系飲食店の料理人複数が、いわゆる“一流”とされる店をかまえるシェフの料理を“庶民目線”からジャッジする」
……という“逆バージョン”も手掛けてみたらいかがだろう。「食材に無駄にお金かけすぎ!」だとか「こんなわかりにくいデリケイトな味だとコンビニじゃ売れねえよ!」だとか……そういう目新しい角度からの“アドバイス”も、またそれはそれで新鮮で面白いと思うのだが???