新潟県発の「遅刻するおむすび少女プロジェクト」に対するジェンダー的観点からの "批判の声" は、さすがに見当外れなのでは?

コラム

 

トップブランド米「コシヒカリ」の産地として名高い日本最大級の「米どころ」である新潟県が、

 

「日本のカルチャーが米離れを救う? 始めよう、モーニングおむすび」

 

……とのスローガンをもとに1月24日、おむすびを朝食にするイメージの浸透に向けて

 

『遅刻するおむすび少女プロジェクト』

 

……の動画を公開した。『J-CASTニュース』の取材を受けた新潟県の『食品・流通課』は、同プロジェクトが展開へと到った理由をこう語る。

 

「日本人の米離れが進んで、一人あたりの消費量も年々減少しています。また、コロナ禍で外食での需要も低調になっており、何とかしたいと危機感を持ちました。(中略)夕食はまだ8割がお米を食べていますが、朝食は5割に留まっています。伸びしろを考えて、『モーニングおむすび』で新しいカルチャーをつくり、消費につなげようと思いました」

 

こうした問題提起をきっかけとし、フィーチャリングされたのが、なんと! ウィキペディアの一項目にもなっている『遅刻する食パン少女』の存在──少女漫画の "定番" であり、アニメやドラマや映画でもしばし目にする「学校に遅刻しそうなヒロインが食パンをくわえて走り出し、(時には)曲がり角でイケメン男子と衝突して恋に落ちるシーン」の積み重ねによって「朝は食パン」のイメージが形成され、ひいてはそのインプリンティング現象が「日本人の(とくに朝食での)米離れにもつながったのではないか?」という仮説を立てたという。

 

動画はバレンタインデーの2月14日まで毎週月曜日に計4本を公開する予定で、その第1弾となる動画では、受験生を演じる、2012年に『国民的美少女コンテスト』で審査員特別賞を受賞した女優の井頭愛海(20)が、ご当地料理の「タレかつおむすび」を口にくわえながら走るシーンに、少女漫画風の萌え系タッチの「食パンの代わりにおむすびをくわえて走る女子高生」のイラストが挿入された構成である。(「※おむすびは走らず食べましょう」という注意を促すテロップもちゃんと画面端に掲載されている)

 

まだ見慣れないせいか、おむすびをくわえている "絵" がどことなく不自然で、まるでシュノーケルを装着しているようにも見えなくない……など "おむすびの角度や面積比率" には多少の改良の余地がある気もするが、アイデアとしてはなかなかに秀逸だと、私は思った。

 

「この手の萌え絵でPRしてももう誰も釣られんやろ」

 

「誰が握るんだよ。その時間がないからパンなんだよ」

 

「米粉パンじゃあかんの?」

 

……ほか、ネット上では批判の声も散見されると聞くが、まあこんな "インネン" も(おそらく)想定の範囲内であり、この程度のプチ炎上なら燃えた時点で発信側の勝ちだと言える。(※私が先述のように感じた「不自然さ」も「違和感」と置き換えれば、効果としては "大成功" だと言えよう)

 

ところが! 同プロジェクトに対し、ジェンダーの観点から "萌え絵" に疑問を呈する論調で攻撃する輩が一部実在するようで、その脊椎反射にも近いあまりに敏感すぎるアンテナには、基本はリベラルな性格である私も、さすがにげんなりした。

 

新潟県は

 

「ルーツは1962年の『サザエさん』に登場するワカメちゃんのワンシーンにまで遡るとされ、数々の少女漫画でも採用され尽くしてきて『食パンダッシュ』『トースト娘』…といった別名まで生まれた、ウィキペディアでも項目立てされている名場面」

 

……をパロディにしているのだ。だったら、PRの主人公に女子高生を起用し、イラストに "萌え絵" を採用するのは自明の理であろう(※第2弾以降に男性が登場する可能性も捨てきれないが?)。

 

今のご時世、ジェンダー問題に関してインターネットやその他メディアで一石を投じること自体は、たしかに重要ではあるのだけれど、目についた案件すべてに、好戦的な姿勢を見せるばかりじゃ、結局のところ支持者を逃してしまうだけ……なのではなかろうか?

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