漫画家の画力は連載が続くほど比例してアップするのが当然…だが、そんななかでもその伸び率が半端なかった漫画家とは?

コラム

 

「専門サイトが発信する本格的な記事にはついていけないライトユーザーに向けて、漫画・アニメ・ゲームなどを扱った分かりやすくて読みやすい記事を毎日配信すること」をコンセプトとするネットメディア『ふたまん+』が、「初期と後期の画力の変化に驚いた漫画」という、なかなかに面白い視点のアンケート調査(10〜40代の男女300人対象:アンケートサイト『ボイスノート』協力)を実施していた。取り急ぎは、その「TOP10」をご覧になっていただきたい。

 

1位:こちら葛飾区亀有公園前派出所

2位:ジョジョの奇妙な冒険(JOJOシリーズ)

3位:進撃の巨人

4位:SLAM DUNK

5位:ベルセルク

6位:黒子のバスケ

7位:キン肉マン

8位:遊☆戯☆王

9位:烈火の炎

10位:嘘喰い

 

女性向けビューティ雑誌『VoCE(ヴォーチェ)』で約2年間4コマ漫画の連載を持ち、ジャンプ系(集英社)から全7巻が刊行されたライトカジュアル系SM漫画『麗羅』の原作も務めた経験もある、一応の漫画関係者の端くれとして言わせていただくと「連載が続くごとに絵柄が変わっていく」というプロセスは、いたって自然な現象であり、むしろ「最初から最後までまったく変わらなかった」なんてことは「超」の付くレアケースだったりする。

 

当然のこと、連載が長く続けば続くほど、月刊連載よりは週刊連載……と締め切りの頻度が詰まっていれば詰まっているほど、(一般的に)その変化の幅は広くなる。ましてや、デビューしてまだまもない若手作家であれば、おのずとその成長の度合いもぐんと加速する。今では漫画界きっての「絵師」として名高い井上雄彦先生の『SLAM DUNK』も、いまだパチンコ業界でも大人気な原哲夫先生の『北斗の拳』も、連載がはじまったばかりの新人のころは、そのタッチにけっこうほのぼのしい稚拙さがまだ残ってましたから……。(※←謎の上から目線w)

 

「(連載)漫画家の画力の変化」は、大きくは二つのパターンに分類されると思う。

 

一つは、単純に画力とスピードが "実戦" によって飛躍的に向上し「回を追うごとに線や陰影などの描き込みが増していく」パターン。TOP10内だと『進撃の巨人』、それに先述した『北斗の拳』などがその顕著な例で、「ギャグ漫画からストーリー漫画への転向」によって、必然的に画風も変わっていった『キン肉マン』あたりも、その "亜流" としてカテゴライズされるのかもしれない。

 

もう一つは、「より見やすく」を意識しつつ、同時に過酷な締め切りの嵐を切り抜けるため「不必要な線を省く」という(いい意味での) "手抜き" を習得した「回を追うごとにデフォルメが進み、線が簡略化していく」パターン。TOP10内だと『こち亀』が、まさにその代表例であろう。

 

さらに、これら二つの「複合型」(?)として、漫画家本人のアーティスト気質が連載とともに抑えられなくなり「回を追うごとに(コマ運びなども含む)ページの芸術的クオリティが高くなっていく」パターンも、少なからず実在する。TOP10内では『ジョジョシリーズ』の荒木飛呂彦先生、あと『SLAM DUNK』の連載を終えてからの井上雄彦先生とかも、これに該当するのではなかろうか?

 

いっぽうで、故・水島新司先生の『ドカベン』なんかは、あんだけ長く連載を続けていたわりには、画風の変化の振り幅がほとんどなかった……気がする。そして、それはそれで "職人" として素晴らしい "技術" であることに間違いはない。

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