真犯人考察が大いに盛り上がった嵐・二宮和也さん主演の日曜劇場『マイファミリー』（TBS系）。今回は本作に登場した主要3家族が迎えた結末とその対比について、『Smart FLASH』（光文社）でドラマ批評連載を持つ筆者がネタバレありで振り返ります。

※ここからは『マイファミリー』のネタバレがありますので、未視聴の方はご注意ください。

 

 

■あらすじ紹介と真犯人暴露

6月12日に最終話が放送された『マイファミリー』。

スマホゲーム会社社長・鳴沢温人（二宮さん）は、妻・未知留（多部未華子さん）、娘と暮らしていましたが、ある日、娘が誘拐されてしまいます。その温人の娘の誘拐事件に端を発し、次々に発生する誘拐事件が複雑に絡み合っていくというストーリーでした。

大学時代からの親友である弁護士・三輪（賀来賢人さん）の娘も誘拐され、同じく親友の元警察官・東堂（濱田岳さん）の娘も実は5年前に誘拐されていたことがわかります。

ですが、温人と三輪の娘を誘拐したのは、なんと東堂だったのです。東堂は自分の娘を誘拐した真犯人をあぶりだすために、模倣犯となっていたのでした……。

ここで東堂の娘をさらった真犯人を明かしますが、真犯人は神奈川県警捜査一課長の吉乃栄太郎（サンドウィッチマン・富澤たけしさん）でした。吉乃が東堂の妻と不倫関係にあり、それが東堂の娘にバレてしまい、もみ合っているうちに東堂の娘が誤って転落死してしまったことが、全てのきっかけだったのです。

 

 

■東堂が迎えた最悪の結末…

さて、ここからは温人一家、三輪一家、東堂一家の3家族について考えていきたいと思います。

筆者は物語前半を視聴していた当時は、真犯人は不仲で破綻していた家族を再生させることが目的なのではないかと考えていました。

実際、温人一家の家族関係は冷めきっていたものの、誘拐された娘を取り戻す過程で夫婦・親子の絆を強め、仲良し家族に戻れました。また、三輪はすでに離婚しており元妻とは不仲でしたが、同じく誘拐された娘を取り戻したことで、娘のために三人寄り添って暮らすことになり、家族が再生していきました。

そのため真犯人は温人や三輪の家族仲が破綻していたことを憂いており、“雨降って地固まる” を狙っていたのではないか……と考察していたのです。

しかし、実際の真犯人・吉乃の動機は完全に保身でしかなく、温人一家と三輪一家は一連の誘拐事件が起こったことで、本当の幸せを手にすることができたのですが、それは結果論でしかなかったのです。

……そして残酷な結末が待ち受けていたのは東堂一家でした。東堂はいなくなった娘を見つけ出すために親友の子供を誘拐するまでしてしまっていたわけですが、その娘はすでに亡くなっていたのです。またその原因が妻と上司の不倫であり、娘を死なせた真犯人はその上司だったというダメ押し。……これほどの絶望はないでしょう。

『マイファミリー』というタイトルで、主要3家族のうちのふたつの家族の絆は強固なものとなり再生した一方、もうひとつの家族は至上のバッドエンドを迎えるというやるせない終幕でした。