若者たちが怖がる「高齢男性」の傍若無人なふるまい…その原因を「世間」というキーワードでひも解くとすこぶる分かりやすかった

コラム

 

飲食店や小売店でアルバイトをしている最近の若者たちは、一様に「高齢男性が怖い」と言っている……らしい。店内で堂々とマナー違反な行為に走ったり、些細なことで文句を言い始めたり、怒鳴ったりする人が多く、もはや接客のシーンにおいて、高齢男性は極めて面倒臭い、警戒すべき存在となりつつあるのだという。そんなことが書かれた記事を『幻冬舎 GOLD ONLINE』が配信していた。

 

NPO法人『老いの工学研究所』で理事長を務める川口雅裕さんは、「高齢男性が傍若無人な態度を取りがち」な理由をこう分析する。

 

「世間」をキーワードにすれば、これは分かりやすい現象です。

 

(中略)(とくに)私たち日本人はそのときに属している「世間」の中で、その安定を乱さないような言動を選択し、その安定に寄与する役割を演じ続けてきています。

 

(中略)逆に言うと、日本人は「世間」を失うとタカが外れやすくなる。そう考えると、高齢者(男性)にマナーが悪い人が多くなることも説明がつきます。

 

(中略)定年などで職場を離れる、配偶者や友人を亡くす、身体的な衰えによって活動範囲が狭くなる、郊外での一人暮らしにより他人との交流が無くなるなどして、それまでの人生において、ずっと自分の言動の選択基準となってきた「世間」を喪失していきます。

 

それはとくに、会社に人生を捧げてきた男性に顕著です。

 

それまで「世間」が提示してくれていた「正義」はどこにもありません。「空気」を読もうにも読む「空気」がありません。

 

たしか20年ほど前……だったかには「オヤジ狩り」なる言葉が流行って、中高年男性がタトゥーと盛り上がった筋肉で武装した若者を怖がっていた時代もあった。……のに、今では若者が高齢男性を怖がっているって……変われば変わるもんである。

 

年齢的にフィジカルの面では圧倒的に優っているのだから、

 

「いざとなったらそんなオッサン、ぶん殴ってやりゃいいじゃん」

 

……くらいの気持ちでいたら、たとえリアルにはぶん殴らないにしたって、少なくとも “怖くはない” のでは……なんて風に思わなくもないのだけれど、令和のヤングたちは「いい子症候群」を患いがちなのか、そういうワイルドな発想にすら至らないのかもしれない。言われてみたら、コンビニとかで怒鳴ってるオッサンって目つきがマジヤバいし、懐から刃物とか出しちゃいそうだし、終業後にストーキングでもされたらやっかいだし……。昭和や平成のころと比べ、暴力沙汰へのコンプライアンスも段違いに厳しくなっている。

 

『老いの工学研究所』の川口さんがおっしゃるとおり、いずれ(決して遠くない将来に)「高齢者」とならざるを得ない私たち男性は、まだ心身的な余力が残っているうちに、現在所属している「世間」以外に最低でももう一つの「世間」をつくる準備をしておくべきなのではなかろうか。

 

ボランティアでもいいから今の職場とはまた違った働き場所を見つけるのもいい。誰か複数と共有できる「趣味」へ本格的に没頭してみるのもいい。いっそプラトニックな「恋人」を探してみてもいい……。そして、そこで新たにできた「仲間」(もしくは「恋人」)は年齢差が激しければ激しいほど、若ければ若いほど……貴男をグローバルかつ厳しい目で監視してくれる「世間」の役割を果たしてくれるのだ。

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