イマドキ珍しい「全席喫煙」のカフェで仕事をしていると… 普通のカフェと比べて客の "クセ" が強すぎる!?

コラム

 

店内に入ってくる客一人ひとりに、店員さんが

 

「ウチは全席喫煙席です」

 

……と、いちいちお断りを入れる、恵比寿にある某喫茶店『ルノ◯ール』は、私にとっての「書斎」でもあり「職場」でもあり「第二の家」でもあり、多少大袈裟に申せば「聖地(サンクチュアリ)」である。

 

今日も朝の8時からここに “出勤” し、丸型のカウンター席の一番端をキープして原稿をしこしこと書いている(打っている)。

 

BGMはモーツアルトやバッハやヨハン・シュトラウスやムービーミュージック……などの無難な室内楽で音量は大きすぎず小さすぎずの絶妙なバランス……。カウンターテーブルに沿ってアール型にカーブする後方の大きな窓からは横断歩道が見える。執筆に行き詰まったら、私は新しいたばこに火をつけ、信号が青になっては忙しそうに歩く人たちを眺め、気分転換をする。そこで尋常じゃないボディバランスのモデルみたいなおねえさんや、胸の谷間をこれでもかと強調したりヘソを出したりしているファッションのおねえさんを発見したら、なんとなく今日一日得した気分になり、 “仕事” への活力が漲ってくるのだ。

 

“いつも” のように「ウチは全席喫煙です」と店員さんから告げられ、女性客二人が「じゃあ、いいです」と店を出る。

 

「イマドキ、禁煙席がないトコがあるんだ!?」

「信じられない…」

 

……などと小声でささやきながら去って行く。そんなすでに見慣れた光景── “多数派” が “少数派” へと転じる瞬間を目の当たりにするたび、ちょっとだけ胸の空く想いがする。ここはスモーカーにとって、もはや絶滅寸前に近い「オアシス」なのだ。モラルをカサに一般論を吐いてほしくない。私たちは630円という、決して安価ではないコーヒー代を払って、嫌煙家に迷惑のかからぬよう気遣い、愛煙できるスポットを懸命に確保しているのである。

 

現代社会における “少数派” が占める場所であるせいか、恵比寿にある『ル◯アール』には、クセの強い客が集まりやすい。

 

「自分がいかにデキるヤツなのか」を派手めな若い女性に向かって延々と自慢げに吹聴している黒光りした肌ときれいに刈り上げた側頭部がいかにも半グレ系なアンちゃんが、斜め前のテーブル席を陣取り、大声で関西弁をまくし立てている(※二人がどういう関係なのかはさっぱり読めない)。カウンター席のとなりには電話にリモート会議に……と、まるで自社オフィスのごとく自由に振る舞っている中年のおばさんがノートパソコンと膨大な資料をテーブルいっぱいに開き、保険だかなんだかの勧誘をしている。もう3時間は居座っているのではないか? 注文したアイスコーヒーは氷すら溶け切っていて、

 

「2時間で追加注文をお願いしているのですが、どうなさいますか?」

 

……と、店員さんが慇懃な口調で問いかける。

 

こういう客が(たまたま)近くに来ると、当然のこと私は執筆に費やす集中力をそがれてしまう。しかし、私だって、もしかしたらパソコンのキーボードを打つ音がデカすぎて、無自覚なうち他人様に迷惑をかけてしまっているのかもしれない。そーいえば、すぐそばに座っているヒトに何度かこれ見よがしにコードレスイヤフォンを装着されたこともある。だから、そういう半グレ系のアンちゃんや喫茶店内に事務所を開いているおばちゃんだとかと出くわしてしまったときは

 

「今日は運が悪かった…」

 

……と、潔く諦める。そして、あと一歩ポジティブな思考へと歩み寄り、

 

「彼ら彼女らをネタにして、今日も一本…無事このコラムを書きあげることができました!」

 

……と、神に感謝するのであった。それにしたって、たった今! 斜めうしろの小さな丸テーブルに座っている婚活アプリあたりで意気投合し、たぶん今日はじめて会ったばかりに違いない、辿々(たどたど)しく自己紹介をし合っている非喫煙カップルは……もうちょっとマシなスポットがあるんじゃないのか???

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