SNSの使いすぎでトラブルも… 子どもがスマホのルールを守らないときの最適な向き合い方とは?

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東海大学客員教授の岸田雪子氏が子育て周辺の課題を考える連載「Bloom Room」。笑顔の “つぼみ” を花開かせる小部屋です。今回は「子どものスマホ」について。
 

静岡県で先週、40代の母親が殺害された事件は、関与したとみられる中学1年生の娘が警察に「母親からSNSを使い過ぎていると注意され、口論になった」と話していると伝えられ、大きな衝撃を与えました。元報道記者としては、事件直後に流れる警察情報の一部が、必ずしも背景の全体像を表しているとは限らないということは、心に留めたいと思っています。
その上で、今回は多くの親御さんの悩みのタネでもある、「子どもがスマホのルールを守らなかった時」について、親子コミュニケーションの視点から考えてみたいと思います。

 

まず、子どもにスマホを与える時に「ルールを作ること」は、実践されているご家庭も多いことと思います。その際に、ぜひ子どもと話しておいていただきたいのは、「なぜ、ルールが必要なのか」という、ルールの前提となる部分です。子ども自身がルールの必要性を納得していない限り、ルールが破られる日は、遠からず訪れるからです。

 

ルールを設ける理由は、たとえば、
◎スマートフォンは、親が購入する親の所有物であり、子どもは借りているものだから
◎SNSなどを見たい衝動を抑えることは、大人でも難しいものだから
◎長時間のスマホ利用は、学習時間が減る上、集中力も削ぐため、学力にもマイナスの影響を与えるとするデータもあるから

 

などがあげられます。ルールを決める時は、親だけが決めるのではなく、子どもと一緒に考えることも肝心です。子どもがルールを守ろうとする、意欲につながるからです。

 

それでも、ルールが守られない時はあるでしょう。
ルールの中に、「ルールを破ったら○○」と、あらかじめ決めておくのも良い方法です。
ただ、実際にルールが守られなかったからといって、「破ったから〇〇だよ」と直結することが良いとは限りません。ルールを破ってまでスマホを使う子どもの行動には、SOSが隠れている場合もあるからです。

 

私がお話を聞いた、あるご家庭のケースです。
中学2年生の女の子は、スクリーンタイムをセットしてもらい、夜10時から朝6時までは、スマホは使えない設定にしていました。日中も、それぞれのアプリに一定の制限時間を設けるルールにしていたはずでしたが、ある日、お母さんが自分のスマホで娘のスクリーンタイムを確認すると、1日の使用時間が12時間近くに及んでいたのだそうです。使っていたのは、LINEやインスタグラムなどのSNSが中心です。お母さんは驚き、娘を叱ろうとしました。でも叱るよりも先に、娘さんが何となく、しょんぼりした様子であることに気づいたのだそうです。そこで「ルールを破ったのが良くないことはわかっているのね」と確認した上で、「何があったの?」と聞いてみたそうです。
じっくり時間をとって話を聞いたところ、女の子はその日、友だちと出かける約束があったはずが、自分だけ置いて行かれ、仲間はずれにされてしまったこと。それ以前からも、グループから外されているのではないかと感じて不安でいたことなどを、お母さんに話してくれたそうです。SNSを長時間使っていたのは、モヤモヤとした悔しさや寂しさを紛らわせたかったのかもしれません。

 

スマホを使う時のルール作りは大切です。一方で、破ってしまった時の、親子の会話もとても重要だということが感じられるケースかと思います。頭ごなしに叱っていれば、ますます隠れてスマホを使おうとしたり、友だち関係の悩みが深刻なものになってしまっていたかもしれません。
アメリカの心理学者であるカール・ロジャーズは、「人は受け入れられていることに気づくと、洞察を始める」と説きます。自分の話を聞いてくれ、事情を理解してくれる大人がいれば、子どもはルールの大切さや、どうすれば守れるかを自分で考えることにつながっていくでしょう。そのカギは、親子の信頼関係にある、とも言えそうです。
 

岸田雪子

ジャーナリスト・東海大学客員教授

岸田雪子

キャスター・ジャーナリスト。東海大学客員教授。日本発達心理学会員。早稲田大学法学部を卒業、東京大学大学院情報学環教育部修了後、日本テレビ入社。報道局社会部記者、政治部記者として事件・災害・教育・医療・...

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