「雰囲気美人を目指しましょう!」と言われても…そう簡単に目指せたら誰も苦労はしない!!
まったく実践性に乏しい「恋愛マニュアル」ってヤツが、ネット上に日々蔓延(はびこ)っている。そのもっとも顕著な例の一つとして挙げられるのが
「雰囲気美人のすすめ」
……的なたぐいのモノである。たとえば、「恋を学んで、強くなる!」をコンセプトとする女性向け恋愛系WEBメディア『KOIGAKU(恋学)』が、「雰囲気美人が最強説!? 見た目は普通なのにモテる女性の秘密とは」なるタイトルの記事を配信していた。
冒頭から「美人より普通の女性のほうがモテる?」との論調のリード文で読者を煽りながら、「見た目は普通、なのになぜかモテる女性の特徴」として
・親しみやすい
・コミュニケーション力が高い
・聞き上手
・少し隙がある
……の4つを列記し、最後は
肌や髪を綺麗にケアする、メイクや服装をほどよく今っぽく・でも奇抜にならないようにアップデートする。少しの工夫で雰囲気美人は作れます。顔かたちそのものは変えられませんが、「美人っぽい」「かわいいっぽい」雰囲気を作り出すことは誰にも可能です。
……ってことで、
「モテたきゃ雰囲気美人を目指しましょう」
……と〆ている。
ものすごく雑なアドバイスだと思った。(辛うじて)具体的な “対策” として認められるのは、「肌や髪のケア」と「メイクや服装のアップデート」……くらい?
そりゃあ、たしかに「雰囲気美人=モテる」という定則は正解なのかもしれない。モテたきゃ “ソコ” を「目指す」のも、戦略としては……たぶん間違っちゃいない。が、今回の『KOIGAKU』だけじゃなく、多くの「雰囲気美人推奨」系マニュアルの記事は、その大半が
「じゃあ、実際のところはどーすりゃええねん!?」
……といった問いかけに対する「アンサー」の視点が、あまりにも欠落しすぎているのだ。
「親しみやすい」「コミュ力が高い」「聞き上手(※←コミュ力と微妙に被っている)」……って言われてもねぇ……。そんなん、指摘されて一日二日で習得できるスキルじゃないっしょ(笑)!? とくに「少し隙がある」ってくだりは、厄介極まりない。「隙」というワード自体があまりに曖昧だし、「少し~」の塩梅の調整も、じつにデリケートな課題になってくるからである。
「合コンとかで赤ワインをこぼして、相手男性のYシャツをシミだらけにしてしまう」
「飲みすぎて、となりにいた男性の肩に寄り添っていたら、うたた寝してしまい、ヨダレを垂らしてしまう」
「つい小さい音のオナラを漏らしてしまう」
……みたいな感じで大丈夫なのか? 「ヨダレ」や「オナラ」は「少し~」の範疇を超えているのかいないのか……??
結論を申せば……少なくとも私は「雰囲気美人」を自覚的に目指すマニュアルを制作するのは不可能だと諦めている。その “仕事” が「オーラのあるヒトを目指す」と同程度に困難な、気が遠くなるような作業の積み重ねとなるのは、火を見るより明らかだ。
だったら、いっそ
「男性ウケのいい目をつくるには、◯◯施術で二重(ふたえ)にして目頭を××すればいいですよ」
……なんて風に、あっけらかんと美容整形で「顔かたちそのものを変えてしまう」ことを促すマニュアルのほうが、まだゴールが見えやすい気がするのだが、いかがだろう?