テレビ番組の「後追いキリトリ記事」の必要性を考える

コラム

 

Yahoo!ニュースで、ネット版の『デイリースポーツ』が配信していた「オードリー若林、杏と共演のエアコンCM終了告白 25連続NGがトドメに」なるタイトルの記事が目に止まった。

 

お笑いコンビ『オードリー』の若林正恭さん(44)が1月25日、『あちこちオードリー』(テレビ東京系)に出演した際のトークを要約した、いわゆる「後追いのキリトリ記事」である。とりあえず、その内容は……おおよそでは以下のようなものであった。

 

この日のゲストはお笑いタレントのバカリズムさん(47)。自身が脚本を担当した『住住』で本人役を演じた若林さんに、バカリズムさんは「若林さんは、若林さんから出てくるセリフだったらものすごくナチュラルに言うんですけど、ひとたび若林さんから出てこないセリフをあてちゃうと、超棒読みになっちゃう」と指摘。


的を射た発言に若林さんは苦笑いするばかり。自ら女優・杏さん(36)と夫婦役で共演していた三菱電機のエアコン『霧ヶ峰』のCMの裏側を語った。

 

「(演技中)『おめでとー』という(若林さんのセリフの)ところ、25テイクぐらい撮った」と告白すると、バカリズムさんは「(おめでとーって)言わないからね」と納得。

 

若林さんはさらに「えらいもんで、それでCM終わりましたよ」「オレが『おめでとう』って言えないからだと思う」と反省まじりに自己分析した。

 

そして、その下にあるヤフコメ欄には

 

こういうテレビのキリトリ記事はよくないですね。この放送を見ましたが、若林さんがエピソードトークを自虐的に話しただけなので、連続NGがCM終了の本当の原因なのかは分からないです。

記事にするならウラをしっかりとってからにしてもらいたいです。

 

……といった、同記事を批判する旨のコメントが掲載されており、けっこうな数の「いいね」を獲得していた。

 

さて。以上、散々な言われようだが(笑)、少なくとも「ネットニュースパトローラー(※略:NNP)」の肩書きをも持つ私としては、この手の「後追いキリトリ記事」には、いつもいつも助けられている。ここcitrusでコラムを寄稿するための「生命線」とすら呼んでも差し支えはない。

 

よく、ネット上では

 

「テレビで観たことをそのまま書いただけでお金がもらえるなんて、ラクでいい仕事ですね」

 

……みたいな風に、この手の記事を揶揄する意見が寄せられているが、それを読むたび私は猛然と腹が立つ。

 

「じゃあ、アンタがやってみろや!」

 

……と。たった今チェックしたばかりのテレビ番組を1000ワード程度にまとめ、オンエア後から数十分でアップする作業がどんだけ高度なライティングスキルを要するか……身をもって一度、実感していただきたい!

 

「後追い記事否定派」は「内容の “キリトリ” がよろしくない」と言う。ならば、一切手を加えず、観たとおりをそのまんま文字に起こせばいいのか? そんなことしたら、1万ワードを軽くオーバーする、スクロールしてもしても延々終わりが見えない “超大作” になってしまう。今回の記事も、

 

「オレが『おめでとう』って言えないからだと思う」と反省まじりに自己分析した。

 

……というくだりの「思う」と「自己分析した」の箇所で、これが単なる “若林さんのジョークまじりな自虐的推測” の域を超えていないことは汲み取れるハズ──せめて、それくらいの読解力と “優しさ” は最低限担保して、ネットサーフィンに興じてほしい。

 

あえて、『デイリースポーツ』の記事で気になる部分があるとしたら、タイトル……ですかね? 

 

「オードリー若林、杏と共演のエアコンCM終了告白 25連続NGがトドメに」は、

 

「オードリー若林、杏と共演のエアコンCM終了告白 25連続NGがトドメに?」

 

……と、「?」マークで文末を〆れば、より親切な記事に仕上がったのではなかろうか?

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