WBC後の野球ブームは一過性なのか? 金子恵美氏の発言から考える

コラム

 

4月5日、朝の情報バラエティ番組『めざまし8』(フジテレビ系)が、レッドソックスの吉田正尚外野手(29)が3日(日本時間4日)の本拠地パイレーツ戦で、左翼グリーンモンスター越えのメジャー第1号となる特大ホームランを放ったことを伝えていた。また、エンゼルスの大谷翔平選手(28)が、敵地マリナーズ戦に「3番DH」で出場し、2試合連続となる勝ち越しの2ランを中堅右側に放ったことも報じていた。

 

そんななか、このたびのWBCで世界一になった侍ジャパンのメンバーたちの活躍に、同番組のコメンテーターで、元衆院議員である金子恵美氏(45)が、

 

「国際大会で盛り上がっても、終わったあとになぜか熱が持続しないというか、一過性のブームだったっていうことは今まであったと思うんですけど……」

 

(続けて)「これだけチームに戻られても活躍されていると、目が離せないですし、会話がこれまでどちらかと言うと、男性のほうが野球の話をしていたと思うんですけど、女性のママ友のなかでも、野球の会話をするって今までないことなので、この野球ブームはまだまだ継続しそうだなと思います」

 

……みたいなことを語っていた。ところが、以上の金子氏のコメントに対し、ネット上では

 

「野球は格闘技みたいな一時的ブームではありません。的外れですよ」

 

「主観で言うな! つい最近始まったばかりのスポーツじゃないんだから、ブームじゃないでしょ!」

 

「わざわざテレビで言うほどのことか?」

 

「ママ友たちは “野球” じゃなくて “大谷” だろ!?」

 

「若い女性に媚びるとコンテンツが衰退化する」

 

……など、一部に厳しい声も寄せられていた。

 

さて! では、金子氏による今回の一連の発言は……はたして「テレビで言うほどのことではない」のだろうか?

 

私は、コレって……我々野球をこよなく愛する者たちにとっては、かなり「重要な情報」だと考える。我々野球ファンが「野球」を話題にしたとき、一番反応が鈍い層── “暖簾に腕押し” 状態なのは、やはり10代から40代あたりの女性であるからだ。

 

しかし、2023年度のWBCにおける大谷選手の超人的な活躍をはじめとする侍ジャパンのエキサイティングで感動的な試合運びの数々を観て、これまで野球にはまったく無関心だったヤンママ層も、さすがに連日胸を打たれた様子で、たとえば、私の友人である30代前半の「ホームラン」の意味すら知らないママさんから、いきなりこんなLINEが届いたりもした。

 

ママさん:大谷さん、凄すぎ

 

ゴメス:今日の逆転も結局は大谷からだったもんね。ヘルメット飛ばし走り、と(味方ベンチを)煽るポーズヤバかった

 

ママさん:顔は童顔で好みじゃなかったんだけど、もう今日でイチコロ!

 

ゴメス:僕もイチコロです笑

 

ママさん:あ、でもスリーバントキメた人(※ゴメス註:←源田選手)も凄かったけど]

 

ゴメス:◯◯ちゃんの口から「バント」ってセリフが聞けるとは!!笑

 

ママさん:あ、あと、村上が周東だから安心したって言ってたけど、どういうこと? 代走って誰の? その人の代わりに走るくらいだから足が速いんだよね?

 

ゴメス:(※その後、周東選手の走塁に関する詳細解説が19行にわたって続く)

 

LINE上の文面にもあったとおり、たった2週間そこそこで「ホームラン」の意味すらわからなかった女性から「スリーバントをキメる」なんて “専門用語” がサラッと耳にできたことに、大いなる感慨をおぼえた。ダンナさんに解説してもらったり、ネットで検索したり……と、よほど集中的に勉強したのだろう。ちなみに、現在小学4年生である彼女の娘さんも、このWBCをきっかけに「女子野球部に入りたい!」とまで言い出しているらしい。

 

正直なところ、このLINEのやりとりをした時点では、まだ「本当に今の野球人気は野球ファン以外にまで飛び火しているのか?」──あまり自信はなかった。もしかすると「私の周囲の女性だけ」がたまたま……でしかないのではないか、と。でも、金子氏の発言を聞いて、私は確信した。

 

今回の侍ジャパンの活躍をきっかけに「野球」は、もっとも抜け落ちていた層にも間違いなく浸透しつつある! そして、その「きっかけ」は、もちろんのこと「オオナニサ~ン」や他のイケメン選手たちの “個人推し” でも──ミーハーだってなんだって全然かまわないのだ。

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