我が家はホントに中流なのか!? よその家の貯蓄額は? 怖いけど知りたいお金の真実
どれほど仲のいい相手でも、こと「お金」の話となると、なかなか正直には話せないもの。「よそ様の家は、どれくらい貯蓄があるのだろう?」と気になっている方は多いだろう。しかし、もし「自分のお金」が、隣の人や、世間の相場より少なかったら――。年収・貯蓄から、家賃・ランチ代・趣味の出費まで・・・・・・このたび刊行された『日本人の「お金の使いかた」図鑑』(三笠書房)では、そんな知るのが怖い、でも絶対知っておきたい“お金の真実”が明かされている。
かつて「1億総中流」といわれた日本だが、長らく景気が低迷し、給料は右肩下がり。格差は広がり、「下流社会」という言葉も定着した。さぞかし「自分は下流」という意識の人が多いのかと思いきや、内閣府の「国民生活に関する世論調査」によると、「中の中」と答えた人が半数以上。「中の上」「中の下」と合わせると、実に9割以上が「自分は中流」だと考えているという。
■日本人の平均年収はボーナス込みで「420万円」
実態はどうか? 非正規労働者も含む給与所得者を対象にした「民間給与実態統計調査」(国税庁)によると、2015年の平均年収(年間平均給与)は約420万円(手当やボーナスを含む)。業種によって236万円(宿泊業・飲食サービス業)から715万円(電気・ガス・熱供給・水道業)まで大きな差がある。
■データが示す真実――「4人に1人が年収200万円以下」
男女合わせた全体の年収別では300万円超400万円以下の層(17.5%)がもっとも多い。このあたりが「中の中」といえるだろう。しかし、これを下回る層も多く、300万円以下の人が全体の39.9%を占める。ほぼ4人に1人は年収200万円以下なのだが、世論調査で「下」と答えた人は4.8%しかいない。だれもがゆとりを失っている昨今、「中流」の基準じたいが、かなり下がっているとも考えられる。
■「世帯全体」の収入で、中流意識を保っている
興味深いのは男女間の意識の差だ。男性の平均年収が520.5万円なのに対し、女性の平均年収は276万円と、ほぼ半額である。派遣やパートなどの非正規雇用が多いためだろう。「女性の42.6%が年間給与200万円以下」という数字だけ見れば、下流の割合は相当高そうだ。
しかし、世論調査で「中流」と答えた人は、男性が91.8%なのに対して、女性は92.4%。女性のほうが中流意識は強いのだ。「下流」と答えた割合も女性のほうが少ない。世論調査の設問が「お宅の生活の程度」を問うもののため、夫などの収入も含めて「世帯全体で中流」と答えている可能性も高い。家族で力を合わせて中流意識をキープしているともいえそうだ。
毎日新聞社と埼玉大学社会調査研究センターが実施した世論調査「日本の世論2014」によると、「下流」と答えた人は、近所づきあいや家族とのつながりを深めようという意識が薄い傾向があるという。人と人との絆を大切にする人は、仕事で認められたり、いいパートナーに恵まれる可能性が高く、結果として生活レベルを向上させられるのかもしれない。
■我が家の貯金、少なすぎ……? 気になる「貯蓄平均額」は――
「よそ様の家はどれくらい貯蓄があるのだろう?」と気になっている方は多いだろう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、2人以上の世帯の貯蓄額(運用や将来に備えて蓄えた金融資産総額)の平均額は1209万円(2015年)。この数字を目にした多くの方は「みんなそんなに貯めてるの!?」と驚いたことだろう。この現実離れした数字の秘密は「平均」にある。極端に貯蓄の多い人もいるため、単純に平均すると大きな値になってしまうのだ。実際の感覚に近い「真ん中」を示す「中央値」は400万円。これなら納得できるのではないだろうか。
心配なのは貯蓄ゼロの世帯が約30%にのぼるという事実だ。貯蓄のない世帯は近年じわじわと増えている。国全体から経済的なゆとりがなくなっているのだろう。なお、貯蓄のある世帯だけの中央値は1000万円。持てる者と持たざる者の格差はやはり広がっているようだ。
■20代から定年にかけて、一番「お金に不自由している」世代は?
年代別では、20代から30代にかけては貯蓄が増えるものの、子どもの教育費や住宅購入などの負担が一気に押し寄せる30代・40代では借入金も増える。以降、定年に向けて年収がアップし、子どもたちも独立していくため、貯蓄は増え、借金は減る。退職金が入ることもあり、高齢者世帯は比較的貯蓄が多い。一方、単身世帯では貯蓄の少なさが目立つ。平均は773万円だが、中央値はわずか20万円。全体の47.6%、つまり半数近くの単身世帯が貯蓄ゼロという現状だ。
収入の少ない20代の貯蓄が少ないのは理解できるが、50代になっても中央値は110万円にしか増えない。単身世帯は借入金が少ないため数字上は黒字だが、こうした「おひとり様」にはどんな老後が待っているのだろうか……。
以上が統計上に表われる貯蓄の「並」の姿だ。各家庭ごとにいろいろな事情があり、一概に多い少ないの判断は難しいかもしれない。ただ、たとえば40代では、貯蓄を切り崩してやりくりしている家庭が多いのだとわかる。「いまは苦しくても、乗り切ればラクになるはず」。そう考えれば少しは安心できるのではないだろうか。
【関連書籍】
『日本人の「お金の使いかた」図鑑』(三笠書房)
※情報は2017年1月19日現在のものです