【SNSで話題】飼うべきじゃない⁉「高齢者の動物飼育」につきまとう根深い問題に専門家は…

コラム

citrus 編集部

 

 

Facebookで高齢者の動物飼育について話題になっています。高齢者は動物を飼うべきではないという厳しい意見もみられますが、ドッグライターの大塚良重さんはこの問題をどのように捉えているのでしょうか。話をお聞きしたところ、「高齢者の動物飼育については、確かに難しい問題だ」というお答えが返ってきました。

 

動物愛護・保護センターや愛護団体などでは、高齢の飼い主が犬猫の引き取りを希望するケースが増えており、課題になっています。引き取りを希望、またはその相談理由としては、老人ホームに入居するため、入院のため、また飼い主である高齢者が亡くなりペットだけが残されてしまうこともあります。

 

高齢者が飼っているペットは、同じく高齢であるケースが少なくありません。高齢のペットが新たな飼い主さんの元へ行く必要が出た時、引き取り手が見つかりにくい、ペットにとってストレスになるということは確かにあるでしょう。一方で、時間がかかっても新しい環境に馴染んでいくことも可能ではありますが。

 

ペットと入居できる老人ホームもありますが、総体的に費用は高めであり、老犬ホームにしても、その費用が出せない高齢者にとっては選択肢になりにくいのが現実ですね。

高齢者のペット飼育には、ほかにもさまざまな問題があるようで、

 

私が過去に取材した中では、飼い主だった高齢者が亡くなった2ヶ月後に発見された際、猫だけが生きていた例もありました。

 

高齢者が、意識的にペットを飼育するというよりも、寂しい独居生活のなか野良猫になんとなく食べ物を与えているうちに猫が棲みつき、管理もできているわけではないので、だんだんと数が増え、最終的に猫屋敷状態になってしまうケースもあります。

 

ペットを大切にしていたとしても、飼い主である高齢者の認知能力が徐々に低下し、満足な世話ができなくなり、果ては散歩に行かない、糞尿の不始末、犬であればストレスから吠えるなどの問題が出て、苦情につながる例も。

 

また、生活保護のお金をペットに費やし、自分自身が栄養不足に陥っている高齢者のケースもあります。

その反面、高齢者がペットを飼うことによるメリットもあるのは事実です。

 

・犬と暮らす高齢者は、そうでない人に比べて、歩く時間がおよそ20分長く、それはWHOが推奨する65歳以上の人の身体活動量にほぼ匹敵する(Dall, 2017)

・心理面でのサポートをしてくれる相手がいない高齢者は、半年後の死亡率が高い傾向にある(Berkman, 1995)

・自分でペットの世話をしている高齢者は2年後の生存率が高い(星・望月, 2016)

 

という研究報告もあり、健康を維持し、健康寿命を延ばす、独居生活の高齢者がペットがいることで活力を得ることができる、などの利点は確かにあると言われています。

高齢者とペット飼育の問題は、「飼育」に関することのほかに、高齢者の「福祉」の問題につながる部分も大きいと大塚さんは指摘しています。

 

昨今、高齢者に対する支援は地域で支える取り組み(チームケア)が進められているそうですが、高齢者がペットを飼いやすい環境・ネットワークづくりをしていきたいと考える人たちもいます。ペットを飼育している高齢者がいるとわかった時点で、ペットの専門家もそこに加わることができれば、問題の予防につなげられるのではないかという意見もあります。

 

そのためにも、とかく高齢者は孤立しがちなうえ、認知能力の低下が見られることもあるので、周囲の人が異変に早めに気づき、早期対処するのが望ましい、という福祉関係者の声も。

ちなみにイギリスでは、孤独な高齢者と、その地域に住んでいる犬(登録した犬)とをマッチングさせ、一緒にお散歩を楽しんだりする「Dog Dates」という取組みが始められた地域もあるのだとか。

 

ある程度の年齢の人がこれからペットを飼いたい場合は、将来的な自分とペットの年齢、その時の環境などを想像・思考し、熟考することは必要だと思います。万一の時には代わりに世話をしてくれる人がいるか、ペットをどうするのか。自分には無理だと思ったら飼うことを諦めるのも愛情の一つでしょう。

 

高齢者に限らず、離婚や病気などでペットが飼えなくなる状況になったときのリスクを考えることはもちろんですが。

 

以上、「高齢者のペット飼育」に関しては、一人一人の意識向上とともに、問題を予防できる「受け皿」づくりが求められているといえそうです。

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