温泉は“湯尻”から入浴するべし! 意外と知らない温泉マナー・粋なしぐさ

コラム

citrus 編集部

 

国内旅行の定番と言えば温泉。日常を忘れてリラックスできる場所ですが、公共の場であり、当然マナーが存在します。そこで、温泉ソムリエ協会の遠間和広さんに温泉マナーと粋な作法について教えてもらいました。

 

「風呂上がりの一杯」だけでなく「入浴前」にも水を飲む!

画像提供:遠間和広さん

正しい温泉のマナーを知らないという人も意外と多いはず。改めて基本のマナーから教えてください。

 

「入浴の15分〜30分前に水分補給をしましょう。これは、マナーというより身を守るためですね。入浴をすると発汗により体内の水分量が減り、血液がドロドロの状態になってしまうのです。

 

浴室に入ったら、下半身を前・後ろとも洗い、かけ湯(かかり湯)をしてから入浴します。かけ湯をする際、立ったままお湯をかける方がおられますが、それでは他の方に飛び散ったお湯がかかってしまいます。しゃがんだ姿勢でゆったりと美しくかけ湯をするのが粋です。

 

また、温泉から上がる際は、脱衣所でなく浴室内でフェイスタオルを使って体を拭きます。脱衣所が濡れてしまわないようにするためです」(遠間さん)

 

入浴後はコーヒー牛乳を一気飲み! というイメージがありますが、入浴前にもしっかり水分を摂る必要があるようです。

 

「シャンプー使用禁止の温泉」の見分け方は○○があるかどうか

 

シャンプーや石けんを使う際のマナーはありますか?

 

「シャンプーや石けんなどを使ってはいけない温泉もあります。見分け方としては、シャワーやカランがあるかどうかです。シャワー、カランがない温泉は体をきれいにするのが目的でなく、温泉そのものを味わうのが目的です」(遠間さん)

 

山の中にある温泉などは環境を考慮して石けんが使用禁止になっているところがあるそうです。見分け方を覚えておけば安心ですね。では、シャンプーが備え付けてある温泉に、マイシャンプーを持ち込みする際に気をつけたほうがいい点はありますか?

 

「シャンプーなどは体質に合う・合わないがあるので、自分が普段使っているものを温泉施設に持って行くこと自体はまったく問題ありません。ただし、持ち込んだ物で洗い場を確保するのは典型的なマナー違反です。また、他の入浴客の邪魔になるところに置くのもよくありませんので、常に自分の近くに置くようにしましょう。

 

備え付けのシャンプーやボディソープを使いやすい場所に移動する方もおられるかと思いますが、これも元の位置に戻しましょう。ラベルの向きも正面に整えるのが粋な作法ですね」(遠間さん)

 

マイシャンプーをひとまとめにする防水バッグがあると便利ですね。持ち込むシャンプーは小さいサイズのものが多いですし、紛失防止にもなりそう。

 

「物を元々あった状態に戻す、ということも大切なマナーです。温泉によっては脱衣カゴが逆さまに置いてあることがありますが、これはカゴの中の忘れ物を防ぐためです。もし脱衣カゴが逆さまに置いてあったら、使用後も逆さまにしておきましょう。

 

浴室用の椅子と桶も、使用後は元々あった状態と同じように整えます。カランやシャワー前に置いてある場合と、浴室の隅に並べられたり重ねられたりしてある場合があるので、温泉ごとのルールに従います。かけ湯をするときに桶を洗い場から持ってくることもありますが、かけ湯の後はもちろん元に戻しましょう」(遠間さん)

 

すべて来たときと同じように戻して帰るのがマナーなんですね。どこに何があったか、最初にきちんと見ておくのがポイントとなりそうです。

 

頭に乗せるタオルは「温」と「冷」を使い分ける!

画像提供:遠間和広さん

温泉でのマナーと言えば「タオルを湯船に入れてはいけない」ことは有名ですよね。フェイスタオルを持ち込んだ場合の作法を教えてください。

 

「フェイスタオルは頭に乗せる方法がおすすめです。コツは、落ちにくくするためフェイスタオルを広げて頭全体を覆うように乗せること。サイズが大きい場合は、肩上程度のサイズになるように折ってください。小さく折りたたんで頭に乗せると、落ちることが心配で体に力が入り、肩こりになってしまうことがあります。

 

また、熱がこもった内湯や日差しの強い露天風呂では、水を浸み込ませた冷たいタオルを頭に乗せると熱中症防止になっていいですよ。逆に、雪見風呂などの寒い露天風呂では、保温のために熱いお湯を浸み込ませたタオルを頭に乗せるようにします」(遠間さん)

 

タオルの乗せ方一つにも工夫が込められているのですね。

 

「湯尻」から入浴し「湯口」へ近づくのが粋!

画像提供:遠間和広さん

温泉で粋な作法ができると、大人の楽しみ方に一歩近づくことができます。知っておくと通だと思われる所作を教えてください。

 

「湯船に浸かる際はお湯が浴槽からあふれ出ている湯尻から入り、源泉が出ている湯口へ少しずつ近づいていきます。湯口は温泉の鮮度が良いので、みんなが溜まりたがる場所です。いきなり湯口付近に行くのではなく、順番を待って徐々に近づいていきましょう。これは、他の人への配慮という面からだけでなく、湯口付近より湯尻の方がお湯がぬるいので、体を慣らしていく意味もあります」(遠間さん)

 

温泉にも“入り口”があったんですね! また、マナーや粋な行いは、温泉に入る上での安全性も兼ね備えているように思えます。

 

心も体も休まる温泉。正しいマナーと粋な行いを身につければ、今まで以上に温泉にありがたみを感じられそうですね。

 

(構成・文:テレビ東京 旅グルメ

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