彼女のイノセントな表情を語らずして90年代映画は語れない “デミ・ムーア”出演のおすすめ映画3選
■『ゴースト/ニューヨークの幻』:大ヒットラブストーリーで見せた規格外の可愛さ…
1990年公開の世界的大ヒットラブストーリー映画である本作は、男女問わず楽しめる間口の広い作風で今なお愛されており、気のいい霊媒師役を演じたウーピー・ゴールドバーグがアカデミー助演女優賞を受賞するなど、その評価も高い。
最愛の恋人モリーと幸せな日々を送っていた、銀行員のサム。だがあるとき、勤め先の銀行口座を巡る陰謀に巻き込まれ、命を落としてしまう。ゴーストとなってしまったサムは、死してなお、モリーを陰謀の魔の手から守り通す決意を固めるのだった……というのが、本作のあらすじ。
主人公パトリック・スウェイジの朴訥さもさることながら、本作最大の魅力は「絶対にこの子を守らなくては!」と、見る者を主人公とシンクロさせる、デミ演じるモリーの猛烈なキュートさだろう。当時は、黒髪ショートカットでウルウルとイノセントな涙目を浮かべる彼女に憧れて、同じ髪型にした人も多かったというほどだ。
■『G.I.ジェーン』:キュートさ封印!! 男性社会の軋轢に屈しない女性軍人を熱演
それまでのキュートなイメージに縛られないよう、DV夫を巡るサスペンスに出演したり、純真無垢なブロンド超能力少女役を演じたり、ディズニー映画『ノートルダムの鐘』では声優にチャレンジしたりと、幅広い活躍を見せていたデミ。とりわけ、1997年公開の戦争映画『G.I.ジェーン』は、彼女の印象を一変させる硬派な1作だった。
男女差別雇用撤廃法案を掲げる上院議員の命で、猛烈なシゴキと差別が横行する海軍特殊部隊に潜入したオニール大尉。女性ゆえに軽んじられ、いじめを受け続ける彼女は、苦渋を舐めながらも必死に日々の訓練をこなしていたが……というのが、本作のストーリー。
物語では、巨匠リドリー・スコット監督のソリッドな演出も相まって、目を背けたくなる悪どい差別が描かれている。そんななか、デミは自慢の髪を自らスキンヘッドに剃り上げる衝撃的シーンに挑むなど、迫真の演技を見せた。一見の価値アリの作品だろう。
■『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』:完璧な強さと美しさを持つ悪役を怪演
キャメロン・ディアス、ルーシー・リュー、ドリュー・バリモアが出演し、世界的大ヒットとなったアクション映画『チャーリーズ・エンジェル』の続編である本作。デミは、主人公たちも属する探偵会社の伝説的元エージェントとして登場した。
あらすじはこう。テロリストに囚われた、政府の要人を救出したエンジェルたち。救出した彼から、機密にアクセスできる指輪の奪還を依頼された彼女たちは、指輪にまつわる陰謀の裏に、“最強”とウワサされる元エンジェル、マディソン・リーの存在があることに気がつき……。
当時のデミは41歳ながら、衰えぬ肉体美を惜しげも無く披露。黄金の巨大二丁拳銃をぶっ放す、“最強OG役”を怪演した。世間の評判は決してよくない本作だが、スキャンダルだらけだった当時の彼女が「なんか文句あるの?」と映画を通して啖呵を切るような清々しさに、筆者はある種、胸のすくような気持ちを覚えたものだ。