来年にまたドラマ化が決定した不朽の名作『日本沈没』について 今度も日本は助かるのか、それとも…(※ネタバレあり)
1973年に刊行され、大ベストセラーとなった(故)小松左京さんの不朽のSF小説『日本沈没』が、2021年10月期の『日曜劇場』枠(TBS系:日曜午後9時〜)で、『日本沈没-希望のひと-』なるタイトルでの連続ドラマ化が決定した……らしい。
同作は、刊行翌年には実写化したドラマが放送されているほか、二度の映画化、それにマンガ化、今年にはアニメ化(※『日本沈没2020』のタイトルでNetflixにて配信)もされている。
「ポップカルチャーの総合情報サイト」を標榜する『MANTAN WEB(まんたんウェブ)』によると、“今回”の主役は、目的のためには手段を選ばず、ときには強引な手法で政策を推し進める野心家の環境省官僚・天海啓示役を演じる小栗旬(37)。他にも、天海と同じく各省庁の
さて。漫画家の東村アキコさんが、たしか『海月姫(くらげひめ)』だかの単行本に掲載されていた楽屋オチ的なオマケ漫画で、「邦画は『八甲田山』と『楢山節考』だけを観てりゃいいのよ!」みたいなことをおっしゃっていたが、私もその持論には大いに賛同したい……のだけれど、あえて言わせていただくなら、もう一つ『日本沈没』を絶対に付け加えていただきたい……と、主張したくなるくらいに私は『日本沈没』のマニアだったりする。そして、私が「フェイバリットムービー」としてイチ押ししたいのは、もちろんのこと(?)二度目に映画化された草彅剛バージョンではなく、一度目の藤岡弘(現・藤岡弘、)バージョンだ。
なんせ、草彅バージョンは最終的に日本、助かっちゃいますから! 日本、沈まないから!! しかも、一(いち)潜水艦の運転士でしかない主人公の草彅剛が、まるで『アルマゲドン』のブルース・ウィリスばりに命と引き換えに日本の危機を救ってくださって……。はい、ありがとうございましたっ!
いっぽうの藤岡バージョンは、日本国民が母国の沈んでいくさまをただただ傍観、あるいはあらゆる災害に巻き込まれながら、なすすべもなく必死かつ淡々と海外へ脱出するだけ……そんな、救いようのない絶望的な顛末下で描かれた人間模様、あと、人間という生き物の意外なしぶとさがたまらないのである。
では、このたびのドラマ版は、はたして……? 相当に原作はいじられているっぽくて(まあ、原作が執筆された1970年代と現在とでは、社会環境や科学やテクノロジーの進歩の度合いもまったく異なっているゆえ、そこはしかたないとは思うのだが…)、登場人物も前出の記事を見るかぎり、香川照之演じる「田所雄介」以外は、原作にない名前ばかり。もはや、なぞられているのは「日本が沈没する」という設定オンリー……なのかもしれないが、おそらく“未曾有の事態”に立ち向かう日本政府の狼狽や決断、それに準じる悲哀やジレンマ……とかを中心に描かれた、『シン・ゴジラ』に近いストーリーになるのではなかろうか? ドラマだから映画ほど特撮にはお金もかけられないだろうし……。いずれにせよ、マニアとしては、来年の10月が待ち遠しくてたまらない。