上司の仕事は「部下を運ぶ乗り物」…"コーチ" の意味から考えるパワハラをしないために大切な考え方

コラム

 

ここ数年、企業が問題としていることのひとつに、入社3年目までに会社を辞めてしまう若者が増えていることがあります。このコロナ禍により先行きの不透明感が強まっており、その傾向が減少することはないでしょう。

 

この傾向の主な理由として、上司からの「パワハラ」(パワーハラスメント)が挙げられます。問題は、「パワハラ」をしている側が「パワハラ」を意識していないこと。「パワハラ」を受けている側が、うまくかわせないこと。双方に問題があるといわれています。

 

今回は、「パワハラ」を無意識にしてしまっている側の問題を取り上げます。昔は当たり前だったことが、今や「パワハラ」に認定されていることを考えれば、他人ごとではないですし、必要以上に気を付けなければいけません。

 

「コーチ」という言葉があります。(運動競技の)指導者、(学習指導などのために雇われる)家庭教師の意味で使われますが、第一義の意味は馬車です。「COACH(コーチ)」というブランド(財布やバッグで有名)のトレードマークが馬車である理由がここにあります。どういうことかというと、コーチは、「指導を受ける者を運ぶ道具(乗り物)」であるべきで、決して馬車の上からムチでビシビシ馬を叩く者ではないのです。

 

ここで重要なのは、目線です。「パワハラ」でありがちな「上から目線」ではないということです。では、どういう目線で見たらいいのでしょうか。女子サッカー「なでしこジャパン」で成功した佐々木則夫・元監督はこう言っています

 

「いつでも選手と同じ目の高さ、つまり、“横から目線”で接するように心がけていました。コーチが馬車なら選手は何だと思いますか。答えは“乗客”です。間違っても選手を“馬”と考えてはいけません。コーチ、つまり、指導者の仕事とは、選手を馬のようにムチで叩いて走らせるのではなく、乗客である選手たちを目標の地まで送り届けることです」

 

選手(部下)・イコール・クライアントという考え方が「横から目線」といえるでしょう。選手(部下、子どもなど)が言われることができなかったり、やる気が感じられなかったりしても、ただ叱るのではなく、「なぜそのようになっているのか」をともに考える。そして、彼らの「したいこと」を見つけ、それをやりたくなるように手助けをする。「横から目線」の指導者というのは、まさにこういうことができる人で、こういう人が増えれば増えるほど、「パワハラ」が減少していくことは間違いないでしょう。

 

「上から目線」ではなく、「横から目線」。部下や子どものことを、知らず知らずのうちに「上から目線」で見てしまっているあなた、今、意識して「横から目線」に変えないと、とんでもないシッペ返しを食らうことになるかもしれません。

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