「怒る」と「叱る」の違いとは?パワハラをしないための正しいコミュニケーション術

コラム

 

今回は、パワハラ(パワーハラスメント)をいかにしないか、どうしたらパワハラにならないか、ということに焦点を当てたいと思います。

 

最近、どの企業(会社)でも、部下からパワハラ被害を訴えられることを怖れて、必要な指導まで控えてしまう上司が増えています。上司は、自らパワハラをしないことはもちろん、部下にもパワハラをさせてはいけません。ただし、必要な指導を適正に行うことまでためらってはならないのです。

 

そのためには、まず、「恫喝」(どうかつ)と「指導」の違いを明確にすることでが必要しょう。「恫喝」とは、「自分の利益のために、罵倒や怒声などによって相手を畏怖させる行為」のことです。業務内容と全く関係ない嫌悪感を伴った人格攻勢を大声で浴びせられれば、それは「恫喝」であって、「指導」とはいえません。適切な「指導」がパワハラに認定されることはありませんが、脅しや「恫喝」となるとパワハラと認定されるばかりか、場合によっては刑事罰を科せられる可能性があります。

 

そうならないためには、「怒る」と「叱る」の違いを理解しなければなりません。「自分の損得のために」が「怒る」であり、「相手の成長のために」が「叱る」という行為です。つまり、「怒る」は自分が困りたくないから、不利益を被りたくないからという理由の自分本位型のコミュニケーションであり、「叱る」は改善提案や相手の成長を促すことが目的の相手本位型のコミュニケーションということです。

 

ここで、叱り上手になるためのヒントをご紹介したいと思います。ヤンキースを4度の世界一に導いた名将ジョー・トーリ監督。彼は、選手を叱るにも褒めるのも、必ず1対1で行いました。ミーティングなどで、みんなの前で叱ったり褒めたりではなく、監督室に呼んで、完全に1対1で行うことを徹底したのです。

 

なぜなら、プライドが高いメジャーリーガーをみんなの前で叱ると、プライドは傷付き、言うことを聞いてくれなくなるためです。みんなの前で褒めても、褒められていない選手が面白くなく、同じように言うことを聞いてくれなくなります。トーリ監督も現役時代、2000本安打をマークするなどスーパースターだっただけに、スーパースターたちの気持ちは十分理解していたのです。この選手操縦法が、4度の世界一に導いた由縁と言っても過言ではないでしょう。

 

1対1の鉄則は、何も部下だけに当てはまるわけではありません。子供に対しても同じです。兄弟姉妹を一緒に叱る(褒める)のではなく、1人、1人、別々に叱って(褒めて)ください。なぜなら、叱られてしない(褒められていない)子もしっかり聞いているので、自分と比べて判断し、言うことを聞いてくれなくなるからです。ぜひとも試して、実感してみてください。

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