調理実習で集団食中毒に！ 器具も使いまわしせず、ただ "ある食材" を洗っただけで…！？
数年前。関東の中学校で2年生が特別な授業を受けていた。それは調理師専門学校の講師を招き、食材のさばき方を見学するというものだった。
その食材とは、新鮮なカツオ。生徒たちの目の前で鮮やかにさばかれ、刺身となって生徒の口に。
そして後に地獄の苦しみが……学校中を巻き込む大騒動となっていく！
調理実習の翌日、カツオを食べた生徒の一人、Kさんが腹痛を訴えた。この日は保健室へ行ったのち、早退することに。
その次の朝、同じくカツオを食べたYさんにも腹痛と激しい下痢の症状が。家族にはもちろん思い当たることはなかった。
それでもYさんは腹痛をこらえ……登校した。
しかし学校に着いても腹痛は治まらない。すると驚きの光景が……なんとクラスの3分の1が欠席だったのだ。
2年生125人中、37人が同じ症状で欠席。何かに集団感染したことは間違いなかった！
その頃、欠席中のKさんもひどい下痢と腹痛に苦しんでいた。実は彼女には、生後2か月の妹が！ うつしてしまっては大変！
この頃、学校も生徒たちもうっすら気付いていた。原因はきっとあのカツオだと！
そして学校からの報告で、保健所職員が来校。欠席者から検便をとって調査をした結果……カツオを食べた生徒達から原因となる細菌が検出された！
それは……カンピロバクター。カンピロバクターは主に牛や豚、鶏の腸管内に広く存在していて、特に鶏の保菌率が高いと言われている。
YさんもKさんもまさに、カンピロバクターの感染による食中毒！ と、なれば大きな疑問！ カンピロバクターはカツオには存在しない。
そして信じられないことが判明する！
原因は「あの食材」を洗ったことだった。
色々話を聞いていると、あの特別授業でカツオの他にもう一つ、ある食材が出されていた。その食材とは鶏肉！
実は、カツオを食べる前に鶏のさばき方を見学させていたのだ。しかし、生徒たちはその鶏を食べたわけではなかった。
包丁、まな板などの調理器具も、しっかり片付けられている。となれば、なぜ生徒達は鶏肉からカンピロバクターに感染したのか？
原因を追求するため保健所は再び学校を調査。包丁やまな板といった、調理器具一式は使いまわしせずカツオ用は別に用意されていた。
すると……こんな証言が！ 実は表面のぬめりを落とすため、鶏肉をシンクで洗っていたのだ！
カツオ用のまな板があったのはシンクのすぐそば！ つまり、鶏肉を洗った時の水しぶきと共に飛んだ細菌がカツオのまな板などに付着し、生で食べるカツオを汚染したと考えられる。
アメリカでは鶏肉を洗う危険性について、農務省が度々警告を発信。細菌が飛び散り食中毒を引き起こす可能性を伝えている。
そこで蛍光塗料を細菌に見立て、鶏の表面に満遍なく塗り実際に洗ってみた。そして、ブラックライトを当てると……シンクの周りや、そばにあった調理器具や野菜といった広範囲が光った。鶏肉を洗うことでこれだけ菌が飛び散る可能性があるのだ。
鶏肉を洗ったことによって起きた集団食中毒。鶏肉を洗う時は要注意！（2020年1月7日OA）
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